セキセイインコ ゴン助の精巣腫瘍闘病記録

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2003年01月29日(水) 52 顛末 1


1月28日午前7時半頃


朝起きたらゴンがペットボトルの傍で倒れていた
嘔吐の跡があった。
血のような色が混じっていた。
食事は前日までしていた。糞も確認している。


あわてて手に取るとまだ生きていた。
ハロゲンヒーターの前に置くが最早立てない。
台所で薬と液体餌を作る。
動転して粉がうまく容器に入らない。

様子は非常に悪かった。これはもうだめだ、と思った。
病院は9時に開くが連れて行ける体力さえなかった。
朝一番で連れて行くつもりが、眠ったほんの
2時間程の間、ゴンは嘔吐を繰り返して
体力を使い切った。


もう飲ませた薬も餌も効かなかった。
前はそれで復活した。
今度は食べられなくて弱ったのではない。
早朝5時頃から7時頃にかけて嘔吐を繰り返した。

体重はー2グラム。
家人と見守った。少しでも目を離せば死んでしまいそうだった。
掌とヒーターで暖めながらゴンやんの名を呼んだ。
ほんの少しだけ足が立つ。これで餌を食べようとしたら
復活するだろう。まだがんばるのか、と驚きながら反面痛々しかった。
ボロボロになった毛並み。腫瘍は巨大化していた。
むきだしになった皮膚。糞がついてとれないまま。
顔はやせて目が落ち窪んでいた。
それでも閉じかけた目を何度も開けては私達を見ていた。

とにかく病院に駆け込もう、と電話を取ろうと
した時、体が小刻みに震え始めた。
もう一度両手に乗せて呼び続ける。体は暖かい。
呼吸もしている。
目にはまだ意思の光が見える。半開きながらしっかりと
視線が動いている。


ほっぺたを撫でた。頭をかいてやった。
病院ならば適切な薬投与など出来ただろう。
だが、私は撫でる事しか出来ない。
息がどんどん浅くなって行く。
もう駄目だ、と家人を呼ぶ。


そのまま少しの間ゴンは手の中で息をした。
そして2回、小さな悲鳴をあげて体をよじった。嘔吐。
茶色の液体。多分血だったのだろう。
飲ませた液体餌のわずかな色さえ見えなかった。

2回めの嘔吐のあと。ひとつ息をつくようにそのまま
呼吸が止んだ。

目は開いたまま。あれだけ荒い呼吸をしていたから
すぐにわかった。口の周りを拭いてやった。
体は暖かい。耳もとに体を近付けても呼吸の音はしなかった。

晴れた朝、いつもならゴンの体調がいいご機嫌な一日。
ゴンは空に帰った。
青い空が旅立ちにはふさわしい。

ゴンのいた体をきれいに拭く。
こびりついた糞はとれなかった。はさみで切るのも嫌だったので
そのままにした。目は閉じない。
まだ生きているように真っ黒でつぶらな瞳のまま。
ひとつの方向を向いたままだった。


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