恋をすると詩人にさせるなんて。誰かがどこかで言っていた。そんなせいじゃなくても、秋は人を詩人にさせる気がするんだ。今年の秋は、なんでかキンモクセイの香りもきらいじゃないよ。青く遠い空と、地面を濡らした雨が重なり合って。あたしは泣くことさえ、できないまま何かに取り押さえられたんだ。