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| 2004年02月22日(日) 酸味のきいた土曜日 |
| 私には癖がある。 悲しい事があった時、辛い事があった時、 私は海へ向かう。 そして貝殻を拾う。 わき目もふらずに黙々と拾う。 土曜という事もあり、海は沢山人が居た。 カップル、カップル、大人数。 カップル、ファミリー、おっさん。 カップル、おっさん、大人数。 たまたま貝殻を拾い始めたときに すぐ横に大人数のグループが来た。 男女合わせて8人。 酒やお菓子で盛り上がろうという腹だ。 至近距離で私は貝殻を拾い続けた。 正直、とてもうっとうしい。 きっと彼らグループもそう思っていただろう。 すると不思議だ。 私が拾っているのは貝であり、ゴミなどではないのに 『海を汚すな!』 という気持ちが芽生えてきたのである。 まだ彼らはゴミを捨ててないのに。 その気持ちが反映してか、いやに巻き貝をよく拾うようになった。 「マジで!?」 女性の声だ。内容はどうでも良いが、私はその 「マジで!?」の言い方に苛立ちを覚え、また巻き貝を拾った。 ここに滞在しつづけると財産になるくらい巻き貝を拾いそうなので オッサンの傍で拾うことにした。 オッサンは得てして無害であったが、場所が悪い。 オッサンの傍にいると、とても仲の良いカップルが目につくのだ。 カップルが仲良しな事はとてもいいこと。 だけど海に対してはしゃぎすぎだ! 女の子なんてこんなに寒いのに裸足になり、 スカートを腿までまくりあげて 「つめたーーーぁい」 と海に入り叫んでいる。 なら入るな!!!!と言いたい。 海を汚すな!お前の分泌物で!!と言いたい。 そんな彼女に彼が近寄り、後ろから抱き上げた。 彼女は照れながらもお姫様ダッコを堪能している。 私はディズニーでも見ているのだろうか。 ここは日本国土ではないのだろうか。 拾った巻き貝を全てぶつけそうになったがこらえた。 いま私が彼らに向かい、手拍子と大声でWE WILL ROCK YOU を歌ったら彼らはここが日本国である事を認識するのだろうか。 メールがうまく打てない。 指がかじかんでうまく打てなくなるくらいの時間、 私は海にいた。 気がつけばオッサンもグループもファミリーもカップルも 皆消えていた。 何も居ない海は美しい。 波の音を聞き、しんみりと浜辺に座り情景にひたっていると 手に変な感触が伝わった。 指が、腐った貝の中に入っていた。 『イマムラの指』が『イマムラのくさい指』に変わっていた。 ヘソゴマよりもくさかった。 海は人を情緒的にさせる。 貝殻と 指のくささを 想い出に。 (俳人イマムラ) |
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