毎月送られてくる『The CD Club』の冊子には各コースのおすすめCDの紹介が載っている。 私の場合はジャズ/フュージョンコースを登録しているので、そのまま放っておけばその月のCDが届くシステムになっている。もし気に入らなければ、キャンセルするなり他のコースのものにするなりすればよい。電話の自動オーダーサービスで変更をすればよいのだ。
今月はというと、「マイルス・デイビス」の黄金期のCDだが、どうもトランペットは好きではないし、それに1950年代の録音なのでモノラルで音も悪い。これはもう変更に限ると冊子をデスクの上に置いていた。 変更なしか、変更のオーダーを済ませたなら冊子を本棚にしまうようにしている。デスクの上にあれば変更要ということで、空いた時に電話でオーダーするわけだ。
ところが今月は例のイベントやらで多忙をきわめ、デスクの上も書類の山になってしまった。ついに冊子も下のほうに埋もれるはめになって、いつしか忘れ去られていた。たしか「ペドロ&カプリシャス」にしようと思っていたのだが。
今日、「マイルス・デイビス・ストーリー プレスティッジ・イヤーズ」とタイトルが打たれたCDが届いた。 それでハッと変更を忘れていたことに気づいた。このCD、よりによって2枚組みときている。開封せずそのままCD棚に陳列しようかと思ったのだが、まあ一応は聴いてみようと取り出した。そういえば、未開封のCDが何枚かある。後で聴こうと棚にしまうとそのまま忘れてしまうのだ。
『The CD Club』のCDは大体、名演というものを取り揃えている。名演を選りすぐって1枚のCDに作り直しているのである。まあ当たり外れというのがないわけだ。
今回の「マイルス・デイビス」は1950年代の演奏ということで、オーソドックスなスタンダードが並んでいる。ジャズ喫茶で一人、コーヒーをすすりながらジャズ・マニアづらをして没頭した若かりし頃がよみがえってきた。
名演中の名演『ウォーキン』や『バグス・グルーブ』を久しぶりに聴くと、 今はあるかどうか知らないが、ジャズ喫茶なるところに行きたくなるものだ。やはりこういう音楽は、聴くにふさわしい場所というものがある。
アルバムの中に、『蛇の歯』という曲がある。ここではソニー・ロリンズのテナー・サックスに続いて、なんとチャーリー・パーカーがテナー・サックスを吹いている。 どんな演奏なんだろうと興味深々だが、やはりチャーリー・パーカーだった。楽器が変わってもわかるものである。
しばし、ちょっとくたびれたCDラジカセで聴く本物のジャズは、なぜか心を癒してくれるものだ。
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