2006年06月17日(土)
時代という名の悍馬


 この夏は帽子デビューをしたいと思い(帽子デビューてなんだ?)、物色していたのですが……ああ、あたし顔もデカいが頭もデカい!
 っていうのを帽子を買おうとするたびに繰り返しています(去年も同じことをやった)(つうか自分のサイズぐらい把握してください)。
 あー、仕方ないよね。むっさんの頭の中には金平糖釜が入っているんだもん……(そんなオチか)。



 まだまだ話は続きます。


[帝国メモ:男子部のはなし]

 リハビリがてらに男子の話を。

・突然ですが、美城君の黒燕尾にときめきました。ダンスのテクニックで魅せるというのではないのですが、派手な事をしているわけじゃないのですが、それだけでひとつの世界としてまとまった感じの強い黒燕尾でした。過不足ないというか、やりすぎず、やらなさすぎず、力をいれすぎることなく、でも力を全く抜いていない……上手く言えないんですが、かなり釘付け。
 で84期つながりで、今回はちょっととみーの使い方がもったいなかったな、という気がしています。せっかくのバウなんだからお芝居するところ見たかったな(涼麻氏のお芝居が好きです)。で、そんな繋がりで美城×涼麻なのか涼麻×美城なのか真剣に考えていました……いいじゃんかよ!梅芸ではとなみ×あすかでみらゆかが繰り広げられているんだからさー。でもそう思うと星組84期+あすかたん、それぞれに個性があって魅力があっていい。誰一人かぶってない(そりゃそうだ)。そんな感じで私の中ではバウも梅芸も「84期奮闘公演」です(笑)。

・去年の涼バウから俄然射程範囲に入ってきたぎんがみ氏。ところが本公演になるとぶっちゃけぎんがみまで見ている余裕ないんですよね(笑)。いっつも視界の隅に入れてはすごく気になっていた(私の知らないうちに何かに変化してやしないか)(何か、て)。実は今回班分けが発表された時に、バウ組にいたのを見て「今回はじっくり観察できそう!」と思ったのは内緒(笑)。
 まあ、そんな前置きはさておき、やっぱり顔が男役顔になってきたなぁと。もっと言うと大人の男の顔になってきた。元々は童顔でカワイイ顔立ちなんだけれど、ちゃんと舞台で「おとなの顔」になってきた気がします。お芝居もすごく上達したよねえ。ただ、どうしても声が若いんだよね……今回が役柄のせいもあるんですが、そこが克服(低くする、という意味ではなく男役声として昇華できるように)されるといいなぁと思います(何様ですか?)。黒燕尾は普通に素敵でした。あとやっぱり娘役ちゃん相手にしているときがちょっと見物です。

・水輝涼君はどこへ行こうとしているんだ(笑)。どうしよう、すごいステキだ。つうか最強、だってしぃちゃん(星組屈強男子部)を、一幕でも二幕でも平手打ちですよ!撃たれてもまだ立ち上がりますよ!(笑)
 余談ながら、エンカレで見事なユメキパーマにしてきた水輝涼君に「あいつ新公ジェロをやった時に夢輝を召喚したに違いない」という事になっていました(小郷さんとの間で)。他にもジェロ役者はいるのによりによってユメキを召喚したのか!と話題騒然(笑)。でもちょっと共通点はあるような気がしています、なんとなく。

・みきちぐを見ていると「ちっちゃくたってカッコいい!」と思うのですが、それが宝塚ではなかなか通用しないのかなぁと。衛兵隊コスはなにげにバランスよかったと思います。あ、あとしぃちゃんと並ぶと余りにも体格差があるから「これは縮尺が違うから」と思えるので、みきちぐのちっちゃさが気になりません(笑)。
 そういえば初見の時に「し、しぃちぐ!」と最高に沸騰したのですが、その後に詰め込まれた萌えの数々にふっとんでしまったという……ああ、でもしぃちぐメイトとして心の宝物箱にしまっておこうと思います。ブランメル閣下の女人ソング(笑)の間はいいコントでした(笑)。一度見て震えたのが、ふらふらーと女の子たちのほうに行こうとしたちーくんをしぃちゃんが引きとめて「ハウス!」とばかりに地面を指さした(ここにいろ、動くな)ところです。ちなみにおんなじことを梅田でエレナ様もやっていました確か(笑)。
 あ、あとちぐひよりが嘘みたいにピッタリフィットでびっくりしました、あいつらカワイイな!ちっちゃくて!(ちっちゃい言うな)思いがけない組み合わせだったので、かけざんの世界はまだまだ奥が深いなぁと思った次第です。



[帝国メモ:女子部のはなし]

 リハビリがてらに女子の話を。

・で、上から続いてひよりの話なんですが、ひよりがどっかの場面でしぃちゃんに「あはーん」な顔をしてせまってきた時はびっくりしました。いやあ、時って流れているんですな(もうさんしゃいじゃありまてん!)(笑)。

・みなみのお笑い女王っぷりを誉め称えるのは他の方にゆずりまして、今回感心したのはみなみの演じる女性の値段の幅広さです(値段?)。なんていうのかな、もんのすごい高貴な女性もハマるし、その反対の女性もハマる(下々のあけすけな女性とかおきゃんな感じの女性とか下町のおかみさんみたいなのとか)。いろいろな「格」の女性を演じることができる、これってみなみの強みだと思います。

・ちっちゃいふありがちっちゃい拳銃持っておっきいしぃちゃんに絡むだなんて、萌えないわけがない!萌えないわけがない!つうか大野先生俺らと同類だな!(笑)。
 というわけでいいカンジにしぃふあり公演でもありました。しかしタチアナ(ふあり)とパイーヴァ(マリーノ)としぃちゃんが拳銃挟んで争っている場面はどうしても「はっはっはーどうした!そんなんじゃふりまわされちゃうぞ!(おとうさんと一緒)」に見えて仕方ない私は反省すべきでしょうかおしえて柚長!(そこ?)
 で、しぃふありに思いを馳せているうちに、つうかしぃふありはピーターパンとティンカーベルなんじゃね?と思ったら止まらなくなりました。この場合ウエンディはヒヅキでフック船長は涼さんです(ええ?)(海賊つながり)(えええ?)。

・せあらがもう可愛くて可愛くて仕方ないです。何気に一番ぐっと来てしまうのがあの子鼠ソングの時なんですね。明るく陽気に歌いつつも、途中でちょっと「ぐっ」とつまった顔になるのに超きゅんてした。「ごちそうさまでしたー!」って敬礼すんのもすごいかわいかった。ああいうカラっとしたキャラクターは本当に似合うなぁ。

・カンカンは誰を見てもかわいくてかわいくて仕方なかったのですが、一押しはふありです。ふありちょうかわいいのな!なんというかふありは普段が割りとお堅いイメージなので(私的に)そのふありがふにゃーっと笑っているだけですごくしあわせになります。

・で、女子部ついでに、どうしても一言。いやー、お衣装がどれもこれもどれもこれもどれもこれもすばらしかったですね。あんまり見切れなかったんですが、ヅラも皆衣装に合せてがんばってた。印象的だったのが羽桜しずくちゃんのピンクの衣装の時のヅラとみなみのカンカンの前髪(笑)。



[帝国メモ:まりのゆい部のはなし]

 久しぶりにマリーノがきました(久しぶり?)。いやここ数公演は私的まりのゆい部魂に火がつかなかったもので(うつむき)。いやずっと見ていたんですけれどね「魔界入っているなー」「悠なお輝おにいさまの妹だけあるよなー」「ちょっといきすぎてんなー」「つうかデコキツイなー」……ごめんなさい、でも大好きなんですよ!よ!よ!
 が、今回はキました、きましたよー。「子供がいるの」うわあ!本当にいそう!妙にリアルで面白かったです。社交界にあでやかに咲き誇る公爵夫人、実はエージェント。派手なはずなのに、さめたというか無気力な風情。社交界にもエージェントとしての任務にも、どこかさめている。しぃちゃんと対峙するときも、ひとり先にすっとはけていくところとか、「わたしなら外さない」の場面でも最初にちらと思わせぶりにでてくることろとか。なんというかそういう動線すらパイーヴァの「冷めた」感じに見えて。あのマリーノはかなり好きです。言葉にできないのですが、雰囲気がすごくよかった。
 千秋楽のカンカンの場面で、マリーノが感極まって泣きそうになりながら踊っているのに、最高にまりのゆい部魂が燃え上がりました。すごいコドモみたいだった。まりのゆいさんは、時折びっくりするぐらい「コドモ」になりますね(ex中日王家のフィブライール)。外見はものすごく年相応だと思うのに、芝居をすると今回のパイーヴァみたいな大人な女性もできるのに……っていう事を考えていたらマリーノがAKIRAに出てくる外見は年寄りなのに中身はコドモのアレに見えてきた……マリーノの事を例えようとするとどうしてこう全く誉めてない感じになっちゃうんだろうか……(真顔)。












 で、やっぱりSSも始まってしまうわけですが。




















[フェットアンペリアルSSそのさん]


 部屋に戻ってきたその顔を見て、危惧していたことが回避されたことを知る。
「医者の予約は、取り消しておくから」
 場合によっては、その医者そのものを消さなくてはならない。あの堕胎医はどこまでわたしたちの事を知ってしまったのかによっては。
 彼女は、青い顔をしてソファーに身体を埋めた。痛むのだ。彼女はいつもそうだ。月に一度はこうして使い物にならなくなる。いっその事、身ごもってくれていた方が、使えるのかもしれない。
 明日は大事な舞踏会がある。彼女にここで病づらをしてじっとされていては困るのだ。
「痛い?」
 彼女は、力なく笑った。そして首を振った。わかっているのだ、自分の立場を自分の役割を自分の任務を。わたしのその言葉がいたわりではなく、明日の予定は彼女の体調に関わらず実行するのだという事実を告げているのだという事をそれを彼女は拒否することができない事を。
 そしてわたしも知っている、彼女がそれを拒否できない事を。
 彼女の名前はパイーヴァ。男を手玉に取るクルチザンヌ、オクラナの諜報部員、エージェント。
 公爵夫人という肩書きは本当かどうかは知らない。本国に息子がいる。それが彼女がエージェントである理由。彼女は息子の事となると、いささか平静さを失う。おかげでどれだけこちらが迷惑をこうむってきたか、オクラナの大事な手駒である彼女の「理由」は諸刃の剣だ。
 彼女は言う「あなたには、わからないでしょうけれど」。わからない。わたしはただ任務を全うしたいだけだ。だから任務を妨げるものはいらないのだ。
「……っ」
 彼女が苦しそうにうめいた。そんなものはこの任務には不要だ、けれども彼女が女であることは必要だ。それもまた、諸刃の剣だ。
 任務に不要なものはいらない。わたしの下腹部の痛みも、いらない。


 そんな夜は決まって夢をみるのだ。母の夢を。
 どういういきさつかはしらないが、わたしは生まれる前からオクラナに引き取られることになっていた。都合のいい駒を育てるために。男に生まれたならエージェントにする、女に生まれたならパイーヴァのような女を武器にする仕事をさせる。オクラナは母から生まれたばかりのわたしを取り上げた。
 結局、わたしは女に生まれながらエージェントとしてオクラナに飼われている。
 生まれたときの記憶などないのに、その夢はいつもわたしが生まれたときの夢なのだ。わたしを生んだ母が泣いている。記憶などない、顔など知らない母がわたしが生まれたことを嘆いている。本来ならば、子供を生んだ喜びをその母性の感じるままに表せばいいのに、母はいつまでも泣いているのだ。その姿に、息子の写真をひっそりと抱きしめて泣くパイーヴァの姿が重なる。いやパイーヴァがあんな姿を見せるから、きっとわたしはこんな夢をみてしまうのだ。ばかばかしい。
 けれどもわたしはいつも夢の中で言うのだ。
「泣かないで、おかあさん」
 そう言えば、母の笑顔が見られるような気がして。その笑顔には、きっとパイーヴァが息子から来た手紙を繰り返し読むときの笑顔が重なるのだろうと、それを更にばかばかしいと思いながらわたしは言うのだ。
「泣かないで、おかあさん」
 そこで夢は途切れた。いや、自分で途切れさせた。眠りの中にあっても覚醒していた意識が、わたしに警鐘をならした。誰かが枕元にいる。とっさに枕の下のデリンジャーをつかみ、その気配に押し付ける。
「わたしよ」
 パイーヴァだった。
 何度も言っているはずだった、わたしの傍に気配を消して立つな、と。わたしの後ろに立つなとも。訓練されたわたしの身体は、それを察した瞬間に銃口を向けるのだから。
 もう一度、言い聞かせなくては、しかし彼女はわたしをぎゅうと抱きしめた。
 また、息子を思って情緒不安定にでもなったのか。前にもあった、潜伏先のホテルで同じ部屋で眠った時、彼女は夜中に起きて部屋の隅でずっと泣いていたのだ。手には息子の写真、その泣き声にうんざりしながら、夜を明かしたことが何度もある。そんな感傷は、任務には不要ではないか。どうしてこの女はそれが、わからないのだろうか。
 パイーヴァの手が、わたしの頬に触れた。
「泣かないで、」
 パイーヴァが言った。
 本当に引き金をひいてやろうかと思った。この女は勘違いしている。わたしが母の夢をみたからといって、そして泣いていたからといって、それは任務にまったく支障をきたすものではない。だから彼女には関係ないことだ。わたしを監視する彼女にとって、無意味なことにすぎないのだから。
 けれどもその腕を振り払えなかった。
 パイーヴァの身体はやわらかくあたたかで。
 それはまるで……いや、それは錯覚なのだ。失われた記憶が呼び覚まされたのとは違う、最初からない記憶が、母の記憶がここに思い出される訳がないのだ。
 それでもその腕を払えなかった。
 ただわたしはこの情緒不安定な女の息子の代わりに抱きしめられているだけなのだと、それにつきあってやっているだけなのだと。そしてそれは任務に支障をきたすものではないのだと、
 その腕を振り払えなかったのではない、振り払わなくてもいいのだから。
 だから、わたしはそのまま動かなかった。
 彼女の胸に顔を埋めながら思った。
 これもまた、任務なのだろうか。
 母がわたしを生んだことも、彼女が息子を思うことも、わたしと彼女に女であるが故の「できごと」が起こっていることも、
 そうでなくては、説明がつかない。
 けれどもその疑問に答えが出る前に、わたしは彼女の胸のなかで再び眠りに落ちた。




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 ……消化不良……っ!(無念、でもあげておく)
 パイーヴァ×タチアナ。タチアナ×パイーヴァではないところがポイントですっていうかかけざん順序以前にこのかけざんのアリナシ自体が問題だと思うよむっさん?
 つうかどんどんわかりにくい方向に萌えてんなぁ自分……。



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