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堂々巡り 十年分溜りに溜った此の涙 今出したら止まらなくなりそうで しかも泣き方を忘れている気がした それでも今どうしても泣きたいんだ 十年間其れに触れていない肌は 乾ききってしまいそうだったから やっぱり今しかないと思った いざ泣こうとするのだが これがちっとも出て来ない 出る気配すら感じられない 私は涙は溜るのもと信じて止まない 其れを裏切り否定するかのように 涙は結局出て来なかった 一日中頑張ったけど出て来なかった それじゃぁ十年分の涙は一体何処へ? 私は十年前何をしていた? 五年前は? 昨年は? 何も覚えていなかった 自分でも驚くことに誕生日の日以外 記憶はすっぽり抜けて消えてしまっていた 今日は誕生日 大事な人の誕生日 来年の今日私はまた同じ行為を繰り返す そんな気がした 記憶から消えた日に何をしていたのか 何をするのかとても気になったから 私は日記を付けることにした 今日という日を後日の私が思い出せなくても 確かにその日の私は生きていたと 証明してくれる唯一のモノ 此れに頼ることに決めた 十年分の涙は本当は毎日 私の中で流れていたのか? 外に出ることはなくて 私は独り静かに涙を流していたのか? 来年は十一年分の涙 楽しみだ |