新世紀余話
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2007年04月05日(木) 今回の「慰安婦ショック」が教えてくれるもの

世界的な包囲網を形成した観がある慰安婦をめぐっての対日非難。
今回の件では、心ある日本人もふくめ世界中が被害女性の味方に回りました。
地球上の針の先で突いたように小さな一点、永田町をのぞいて。

「証拠はない」「強制ではない」「発言を誤解された」
永田町の声はいかにも支離滅裂で、その場しのぎの繰り返しという印象ですが、なんとかして責任の押しつけから逃れたいとの一途な思いだけは際立っています。
そしてそれこそ、安倍晋三の本音なのでしょう。

「自分は兇悪きわまる拉致事件に挑んだ英雄行為により国民から崇敬さるべき存在。なぜ、海外から卑猥な言いがかりで戦犯みたいに扱われ、大昔のことで謝罪せねばならんのだ?」

この人たぶん、自分の地位と過去の史実との因果関係がなにもわかってないんじゃないかと思います。
その安倍は先頃、ホワイトハウスとの電話で、「河野談話を継承する」意思をあらためて伝えたそうですが、だから今更どうした、と言いたくなります。

日本国総理が合衆国大統領に確約したからケリがつくほど小さな問題なのでしょうか?

すでに口先だけ慎ましくすれば済ませられる時代ではないのです。
安倍ひとりが謝罪してそれを国民が他人事のように眺めているようでは、世界はけっして納得してくれません。

事実、日本人の立場にありながら安倍だけを非難して正義漢ぶるとしたら、それはとても非常識なことです。
ぼくらの祖父を、ぼくらの父を、そして慰安婦たちの苦難について無知なまま戦後を生きたぼくら自身を、咎ある者と認め、責を受けなければならないからです。

しかも、この償いの気持ちは、今この時だけで終わらせず、日本人すべてが子々孫々にまで継承していかなければなりません。
ほんとうに幾万もの女性達がこうむった非業の運命に対して悔いているなら、次世代によっておなじ暴挙が繰り返されないよう、かたちある対応がなされなければなりません。

日本の男は女性を虐げる暴漢ばかりと思われかねない現状で、日本への信頼を回復するにはそれくらい断固たる施策が必要なのです。
安倍は、ぼくら日本の国民ひとりひとりに、過去の自国の落ち度について自覚させなければいけないんです。

「強制連行じゃなかったし、謝罪も必要ない」と言いはるバカモノを一喝し、学校でも従軍慰安婦の悲惨さを明確に教えるようにしなければなりません。
それができてこそ、立派な一国家の指導者といえるのです。

そこにおいてやっと、国家的な暴力によって青春と余生をズタズタにされた彼女達の犠牲は、無駄にならず、後世に生かされたことになるのです。


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