ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2004年08月27日(金) なりゆきで・1(それは突然に)

本日、ナナと末子ちゃんとワタシの3人で、美術館へ行って参りました。

最初に室伏選手にハンマーぶつけていただきますが、どんなにやさぐれていても、ナナの顔を、気苦労でちょっとやせた首筋と鎖骨を見たら「ぽーーーーっ」となってしまいました。


がつーーーーん!!!!


じょりぃはハンマーに当たって死にました。
ここからは「新生じょりぃ(ただしやさぐれ続行)」がお伝えさせていただきます。


さて。

末子ちゃんは超ゴキゲン。
ナナは・・・・・玄関から出てきた顔が、もはや超フキゲン。

末子ちゃんはもう、当然!という感じで助手席に座りまして。
ナナは後部座席へ。

美術館自体はけっこう楽しめたのですが、ナナは最高にお疲れだったようで(長女ちゃんのことで精神的に)、行きも帰りも口をきかず寝てました。
ワタシと末子ちゃんのおしゃべりは弾んで(5歳児と違和感なく会話を楽しむじょりぃ。しかも、終始劣勢)、そのやりとりをうつらうつら聞いているらしいナナの「ふふっ」とか「ははっ」とかいうかすかな笑い声が、たまに後部座席から聞こえてくるくらい。

ちょっとさびしい。
というか、なんなのこれはいったい。

渋滞に巻き込まれながらナナ宅へ着くと、次女ちゃんがゲームをしながらお留守番しておりました。
本日、長女ちゃんはおばあちゃんの家へお泊まり。
パパはまだ帰ってきておりません。

お茶を飲んだり、子供達と遊んだりしていたのですが、子供ふたりがゲームに興じ始めた頃、ナナが「ねえ、じょりぃ」と。

「ん?」
「折り入って、じょりぃちゃんにお願いがあるんですけど・・・」

ナナがワタシに「ちゃん」づけするときは、たいてい無理な頼み事でございます。

「・・・折り入っちゃってるの?」 警戒するワタシ。
「うん。すごく折り入ってます」
「な、なに?」
「言いづらいんですけどぉ・・・・」

なに?その今までの中でも格別に重たそうな前フリは?

「き、聞きづらい・・・」
「ううう・・・・やっぱりいいです」
「・・・・・・・・なに?」
「忙しいよね、今って」
「うん」 あっさり。
「じゃあいい」 何をめずらしくもじもじしてやがる。
「いいよ。言ってみて」
「・・・ディズニーランドに子供達を連れていきたいなあと」
「?」
「一緒に行けない? 今月中に」

えらく急ですね。

「今月中はちょっとなぁ・・・9月じゃダメ?」
「んーーーーー・・・・・無理ならそれでもいいです」

話をまとめるとこういうことです。

・長女ちゃんの気晴らしに、ディズニーランドか東武動物公園に連れていってやりたい。
・パパはたぶん行きたがらないだろうと思う。
・行けたとしても、パパは長女が好きな絶叫系マシンに一緒に乗れない。
・長女ひとりで乗ってもらえばいいのだろうけど、それもなんかかわいそう。


「・・・いいよ。行くよ」
「ホント?」
「でもアレだね。要は、運転手が欲しい。そして、パパが運転してくれるとしても、絶叫系に一緒に乗れる要員が欲しいと、そういうことだね?」 <ちょっと責め口調のワタシ
「・・・・ピンポン」 <バツが悪そうに正解チャイムを自ら奏でるナナ。


落胆。


ウソでもいいから、「じょりぃと一緒に行きたいんだよ」と言ってくれればいいのに。
ワタシをうまく丸め込んでくれればいいのに。
そんなストレートに、「使う」ためだけの理由を告げてくれなくてもいいのに。


もっとゆっくりしていくはずだったのですが、この件でやさぐれに拍車のかかったじょりぃは、皆の予想を裏切って早々に「帰る」と帰ってきてしまいましたとさ。
やさぐれた状態でパパに会いたくなかった、というのもありまして。
ただ、「夕飯だけは一緒に食べて?」とナナに引き留めていただき、しょんぼりしながら(誰も気づいてくれませんでしたが)ぼそぼそとご飯を食べて参りましたが。


おもしろくなーーーーーいのだ。


と、いつもならひとりでいじけて終わりなのですが、こういうことはちゃんと伝えておかないとけっこうしこりになることをぼちぼち学んで参りましたので、さっくりと「ひどい」とメールで伝えてみることに。
ナナは今、自分のことでいっぱいいっぱいですから、さすがにあまりキツイことは言いたくないじょりぃ。
ということで、メールは明るい感じでコーディネイトすることに☆


今日の、すごく言いだしづらそうだった(笑)話の件。

「絶叫系つきそい兼運転手というわけだね?」に、正直に「ピンポン」て答えるなよー。
「じょりぃと行きたいから」って、嘘でも言えばいいのに。
わかっていたこととはいえ、なんか「ああ、やっぱりね」とオチたぞ。
まあ、正直でいいのかもしれないけど。

今日は体調悪いのにつきあわせちゃって悪かったね。
それと、ごちそうさまでした。



しばらくしてから、ナナから返信。


ごめんね。
もう少し気持ちに余裕ができたら、心からそう誘えると思えるんだけど。
ちょっと話したいんだけど電話していい?



ここでも持ち上げてもらえませんでした。あらあら。
ということは、本気でワタシを「使おう」と思っていたのですね。


ちょっと経ってから、ナナから電話が。


「ごめんね」とナナ。
「(笑)いや、いいんだけど」
「・・・・・けど?」
「ホントに使う気だったんだね」
「・・・ゴメン」
「ていうか、今だって、適当な嘘ついて、ワタシを気持ちよくさせちゃえばいいのに」
「その余裕がないし。今回、じょりぃにその点でお願いしているのは本当だから」

がーーーーーーーーーーん。  なんて正直なヤツなんだ。


「他の人にならそういうお上手も言うだろうけど。変でしょ?今さら」

そうなんだけどーーーー。
ワタシに心を許してくれてるからっていうのは嬉しいんだけどーーー。
もうちょっとさあ、こう。ほら。  頼むよーーーー。


本当はネズミーランド大好きな義妹に頼めば、ふたつ返事でOKしてくれるし、ナナもそのほうが気が楽なんだけど、長女ちゃんが「義妹ちゃんじゃイヤ」と言ったらしく。
「じょりぃちゃんならどう?」と訊ねたら「じょりぃちゃんなら行きたい」と長女ちゃんがおっしゃったそうで。

いつものことですが、おまえはどうなんだよと。
ていうか、ナナはワタシのことなんてどうだっていいんでしょうけど。


このあと、ナナがカウンセリングを受けてきた話や長女ちゃんの話をまただーーーーーーーーーっと聞きまして。
カウンセリング行って、方向性が決まって、だいぶラクになったらしくてよかったのですが。
ええと、あの、そもそもの発端だった、ワタシの話はどこへ?

まあ、しかたないか。
今はしかたないや。

しばらく話をして、いくらか気持ちが落ち着いたのか、「じょりぃ、また眠れなくなったって言ってたよね? あたしの入眠剤、今日持たせてあげようとして忘れちゃった。まだ例のことで悩んでるの?」と、ワタシに話を振ってくれました。

例のこと、とは、ワタシの好きな人のことです。
ナナのことなんですが、ナナはそのことを(たぶん)知りません。
知っているとしても、知らないフリを決め込んでおります。

しかし、せっかくその話を振ってくれたというのに、相変わらず話のディテールになると言葉がむにゃむにゃしてしまうワタシ。
無理もないんですが。

せっかくナナが親身になってくれても、話が進みません。
これは申し訳ないし、なんだか失礼です。

と、とまどいながらも話は進み。

さきほどの長女ちゃんの話をしているときに「相手を思う気持ちというのは、口にしなくても絶対そのまま相手に伝わるものだと思う」と言い切ったナナだったんですが。
「なぜなら、あたしの父親は、そういうことは一切言わなかったし、ダメダメなところも多い人だったけど、父親があたしたち子供のことをどれほど大切にかわいがっていてくれたかは、あたしにはなんとなくわかっていた気がした」と。

ここでもその話がまた出て。
「じょりぃの気持ちは、相手には伝わってしまっていると思う。相手はわかっているよ」と。

対してワタシは「伝えなければ、思いなんて伝わるわけないよ」派。
「伝わるよ」とナナ。
「じゃあ、ワタシがキミに対してどう思っているのか、キミにはわかっているの?」 危ない橋を渡るワタシ。
「わかってるよ」

ぎょ! という怯えと一緒に「本当かよ?」という強気な抗議もわき起こるじょりぃ。

「へえ。 どんな風に?」
「すごく大切に思ってくれてる」
「確かにね。でもなぜわかるの?」
「(笑)そうでなければ、こんなにいつも夜遅くまで話に根気よくつきあってくれるわけないじゃん」
「そんなのさ、ワタシは誰に対してだってそうしているかもしれないじゃないか」
「そうじゃないって、前にじょりぃ言ってたじゃん」
「ほら。 ワタシが言ったからわかってるんじゃん」
「それだけじゃないよ。 じょりぃにとって、あたしは特別ってこともわかってる」

ぎょぎょぎょっ。

「と  特別って?」
「すごく特別に思ってくれてるでしょ? あたしのこと」
「・・・・・うん」
「ほら。伝わるじゃん」
「でも、わかってないよ」
「何がだよ(笑)」
「わかるわけないよ」
「わかってるよ」

お互い何がわかってなくて何がわかってるのかわかってなさそうですが。
あるいはナナにはわかっているのかもしれませんが、ワタシにはわかってることとわかってないことがわかりません。


そのうち、なりゆきでワタシが昔好きだった男の子の話になりまして。
じょりぃの男の趣味ってよくわかんない、と。
どうしてあんなのとかあんなのとかとつきあってたの?と。

失礼です。

と言えないくらい、確かに人間的に変なのばっかりだったんですが。

特にA君について、以前からしつこく訊いてくるナナ。

「あの子って、なんかいやらしい感じじゃなかった?」
「そういうところが好きだったのかも。 ていうか、あれでなかなか固いんだよ」
「そうかあ?」
「そうだよ。高校になってからも、ずっと彼女(ワタシのライバルだった女)ひとすじだったじゃん」
「そのことだけどさ、 あたし、まだA君がIとつきあってた頃にさ、家に連れ込まれて『俺とつきあえ』ってしつこくされたことがあったんだけど」
「え!!!!!」
「じょりぃがまだA君好きだった頃とシンクロしてたので、今まで言えなかったんだけど」
「あはははははははははは。 でもそーゆーヤツかも。Iとうまく行ってなかった頃だったのかな?」
「ていうか、単にあたしがかわいかったからだと思うんだけど」 <しゃあしゃあ

ちょっとショックでしたが。
ワタシもちょっと気が楽に。

実はワタシもナナに言えなくて悩んでいたことが。

中学のときにD君というすごい背が高くてカッコいい子がいたのですが、卒業式が終わってすぐ位の頃に、ワタシ、彼の家に遊びに行って(ちょっといいなと思っていたモノで、誘われるままに遊びに行ってしまった)、ちょっと、こう、なんていうんですか?昔で言うところの「B」をちょっとだけしちゃったことがあったんですが。

1年くらい前に、ナナが「実はあたし、中学の時D君のこと好きだったんだ」と聞かされたときは、「まままま、マズイ!」と心底びびったものだったのです。
ワタシもD君のことすごく好きだった、とかならまだいいんですが、単に好奇心のみ。
カッコいいのでちょいとね☆みたいなノリだったもので。
なんだか「知られたくない!ヤバイ!」とひとりで大慌てだったんですが。

が、これでおあいこ。
フィフティフィフティ。

ていうか、世間て狭いですね☆

とはいえ、このことをナナに伝えるつもりはさらさらないワタシですが。
なんだか肩の荷が降りました。

そのあと話の流れで、ワタシの幼い時代の男性関係についての話なんかも出て。
高校から7年くらいつきあってた彼とは、なんとなく「このまま結婚しちゃうんだろうか」とか思ってたんだけど、結局しなかったなあとか、そんな話。

で、そのような場面でも、やはりいろいろと枝葉が分かれてつっこまれたりすると、自分のセクシャリティゆえに「う」と話につまることなどが多々出て参りまして。


「ずっと好きな人」の話も含めて、ワタシ、そろそろ潮時かな、なんて思ったのです。
何かがワタシの背中を押しました。
ナナは今、長女ちゃんのことで頭がいっぱいですが、でもそんなときだからこそ、なんだかチャンスということもあるのかも、なんて。

ということで。


「ついでに話しておきたいことがあるんだけど」とワタシ。
「  何?」
「ううううううううん・・・・・ええと、こういう話が出たところでちょうどいいかなと・・・」
「え? 両方?」
「え!? 何? 両方って?」
「いや、そう聞こえたもんだったから。 なんて言ったの?」
「こういう話が出たところでちょうどいいかなと」
「ああ、ちょうどいいかな、が、両方いいかなって聞こえたみたい」

なんという先走りな勘違い。
ていうか、薄々気づいていたからそう聞こえてしまったのかしら。

「あはははははは」思わず笑うワタシ。
「?」
「両方といえば両方の話なんだけど。   ワタシ、男でも女でも、両方OKなんだ」

心臓バクバク。 になるかと思ったら、そうでもありませんでした。
「ついでに話しておきたいことがあるんだけど」と言い出す前のほうが、よほどアドレナリンが分泌されていたような。

「うん」
「どっちも好きになるの」
「うん」
「だから、好きな人とかつきあった人の話を男性限定で話されたりすると、それだけで勝手ながら心のシャッターが閉まっていくのだよ」
「うん」


ど、ど、どうして「うん」しか言ってくれないんでしょう。
しかも、なんか、心持ちナナの声が暗い気がするし。


これから長くなりそうなので、思わせぶりに次回へ続けてみてしまおうかしら。

つづく


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