ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2004年06月30日(水) 「心当たり」騒動

この月末。

ワタシの忙しさったら半端じゃありませんでした。
なぜそんなに忙しかったのかといえば、22日まで教習所通いをしていて仕事になっておらず、キッチリとそのツケが回ってきたからでございます。
今ここでがむばらないと、来月ごはんが食べられない、そんな状況。

働かないと生きていけないなんて。神様ひどい!

と、ぶうぶう文句を言いながら、何日かろくに睡眠もとらずに、自分のケ○を拭く作業に追われていたじょりぃだったんですが。

それでも今日は、ナナと映画の約束をした日です。
「この日じゃないと、今度いつ時間取れるかわからないよ」と冷たく言い放たれております。

なっちゃんときょんに「行くの?!」「断りなよー」と罵倒されつつ、「午前中だけだから、午前中だけ」と、ペコペコしながら出掛けてまいりました(ふがいない)。


ナナを迎えに行き、約束より5分遅れて、朝の9:35に到着。
窓から手を振ってくれたものの、そのまま放置で待たされること7〜8分ですか。もっとかも。

じきにナナが車に乗り込みまして。「行こうか」と。

ぶうううううううううん。

2分ほど走ったところで

「なーんか、映画って気分じゃないんだよなー」とナナ。

出た。
気まぐれ炸裂。

「そうなの?」
「うん。 ちょっと落ち込んでるっていうか・・・まあ、気分じゃないのだよ」
「落ち込んでるのか」
「んー・・・・悩んでるっていうか・・・」

何があったのかしら。

「じゃ、映画、やめておこうか」とワタシ。
「いいの?」
「うん。いいよ。 ワタシも実は仕事がいっぱいいっぱいだからさ、ゆっくり見れるときにしようか」
「んー・・・じゃ、そうしてもらっちゃおうかな。 ゴメンね」
「いえいえ。きっと今日じゃ、ワタシ寝ちゃうし(笑)。 じゃ、どうする?どこかで茶ぁでもしますか?」
「うん。 茶ぁしたい(笑)」
「・・・と言っても、まだどこも開いてないよ。 帰りたい?」
「まだ帰りたくない」
「じゃ、ふらふらするか」
「うん」

ふらふらふらふらふらふら

「  落ち込んでるって、どうしたのさ」とワタシ。
「んー・・・・(笑)」

歯切れが悪いなあ。

「子供のこと?」
「(ナナ、びっくりしつつ)子供って?」
「いやだから、長女ちゃんのこととか」 なぜびっくりしたのかしら。
「ああ、それはいつもの通りだよ別に」
「ふうん」

言いたくないのかな。
そっとしておこうかな。
どうしたものかな。

「子供のことと言えば子供のことなんだけど・・」とナナ。
「どうしたの?」
「んー・・・・」
「・・・・・・」 なんだろな。

「生理が来ないんだよね」


え。


「え」
「遅れてるんだよ」


このとき、ワタシったら、とても不思議な感情を体験してしまったのですが。

まず、思わず「ぎく」となったのですよ。
この「ぎく」は、うまく言葉にできないんですが、男の人が彼女とかに「生理が来ない」と言われてしまったときの「ぎく」に近いんじゃないかと。

なんでワタシが「ぎく」としなきゃならないんだかまったくわからないんですが。

そして次に

「どっちの子?」

と、なぜか、どーゆーわけか、思ってしまったんですよねえ。

どっちの子もなにも、ワタシとナナは心も体もまったくそういう関係ではないわけですし、おまけにそういう関係でもふたりの間には当然子供ができません。

なのに思ってしまったんですよ。
「ぎく」も「どっちの子?」も。

ワタシ、頭がおかしくなったんでしょうか。
まあ、とにかく、不思議な体験でございました。 トクした気分。

が、トクした気分なんて、一瞬のことです。
そのあとは怒濤の落ち込み。

「遅れてるって、どれくらい?」
「あたしさ、生理がすごく正確なのね。もうホントに、全然ずれないの」
「うん」
「3日遅れてる」


3日ぁ?

ワタシは前後3日のズレなんて、日常茶飯事ですが。

「3日? はははははは」
「笑い事じゃないんだよ。末子のときだってそうだったんだから」
「   ええと、  」
「うん。心当たりはあるよ」

訊く前に答えてくれてありがとう。
おかげで落ち込みました。


「どうしよう」とナナ。
「どうしようって・・・」
「産むべきだろうか」
「・・・・・それはワタシにはわからないよ」

知らない人が読めば、無責任男が女を孕ませてしまったかのような会話ですが。
実のところワタシは無関係というところが涙を誘います。誘いませんかそうですか。


と、のんきなこと書いてますが。
ナナが深刻な心配をしているというのに、「そーか。パパとそーなんだー。妊娠するほどマメにお盛んなんですかぁ」みたいなことを考えて、自分の感情に振り回されるじょりぃ。
顔や態度には出ていなかったと思いますが。
思うんですが

「あたし、ものすごくできやすいんだよ」

と、ナナが言い訳とも取れるような発言を。
いえ、別にワタシに言い訳する必要なんてさらさらないんですから、単に独り言的に発しただけなんでしょうけど。

「そうなの?」
「うん」
「ふうん」<疑っているようなワタシ。
「なんかさー、そういうことをしまくってる人なら、『またできちゃった』てのも自業自得って感じだけどさ」
「うん」
「あたし、1回でできちゃうくらい、できやすいの」
「え」
「だから『子供つくろうか』ってことになったら、1回しちゃえばOK、みたいな」
「え」
「つくる気もないのにできた子が二人もいるしね(笑)」
「はぁ」

そ、そんなにできやすいの?
ていうか、ワタシはなんと返せばいいのでしょうこんな場合。

「でもさ、まだ妊娠したかどうかもわかんないんじゃん。 薬局寄って、検査キットでも買う?」
「それはもうやった」

はやっ。

「で?」
「マイナスだったんだけどさ。 でもまだわかんないと思うんだ。心当たりのある日から数えると、検査してもまだわからないくらいなんだよ」

そうなんだ。
まあ、あちらは妊娠のプロ。 ワタシは素人。ていうか、したことないし。
それにしても「心当たりのある日」って言葉、イヤなんですけど。

「じゃあこの足で病院行こうよ。ワタシも一緒に行く」
「だから、病院行ってもたぶんわかんないんだってば」
「わかんないよ? 医学は日々進歩しているのだ。 それに、どっちかわかったほうがスッキリしていいじゃん。悩むにしてもさ。何を悩めばいいかハッキリするし」
「うん・・・・でも、まだちょっと悩ませて」
「いいけど」


「パパは? なんて?」
「んー。 まあ、もうひとり増えると大変は大変だよなって」
「ふむ」
「でも、一日だけじっくり考えさせてって言ったら、いいよ、わかったって」
「そう」


まだ妊娠したかどうかもわからないわけですが。
ふたりして、なんだか深刻モード。
ワタシなんて、車の運転もびびりがち。

「つい、揺らしてはいけない!とか考えてしまって、運転が怖い」とワタシ。
「(笑)大丈夫だよ。あたしなんてガンガン自転車乗ってるし」
「うん」

一時間ほどふらふらして、お店に入りまして。
話すテーマはひとつなんですが。

ナナは「妊娠してるなら産みたい。ていうか、堕ろしたくない」と思っているらしく。
「もうひとりくらい、なんとかなるかな、なんて思うんだけど」と。

しかし、そう聞くと、にわかに心配になるじょりぃ。
だって、今だって「自分の時間がない」「蒸発したい」とか言って、めっきり暗くなったりする人ですよ?


でまあ、いろいろ話しまして。ホントにいろいろ。
といっても、子供のことと、子供と自分のことと、自分と親のことと・・・という具合。
生理が来ないせいで、すっかり自己カウンセリング状態に。
ワタシはひたすら「うんうんそうだね」と聞いておりまして。

聞きながら、どうしてもさびしい気持ちに。
ナナとパパが夫婦仲いいのなんて知ってるのに。
エッチしてるのだって知ってるのに。

なのに、なぜ妊娠騒動はこんなにこたえるのか。

以前も一度あったんですよ。「あたし、ヤバイかも」という騒動が。
そのときは、今回よりももっと落ち込んでましたが。ワタシが、ですけど。
あのころ、「パパとはもう全然そんな感じじゃないから」なんて言ってたくせに、そんな騒動になったので、ワタシったらすっかり「うそつき!」といういじけモードに突入していたという。幼稚ですが。

それに、子供ができたら、「もう少したてば、一緒にのんびり出かけられるようになるよ」がまた遠のいてしまいます。
勝手ですが。
ナナはそれどころじゃないわけですが。

ナナの話を聞いていると、産むほうへ産む方へと傾いていっている様子。
いいんですけどね、産んだって。
キミ、またノイローゼっぽくならないでね?

なんて意地の悪いことを考えていたら

「あたしさ、こうやって、産もう産もうって話をしてるっていうのはさ」とナナ。
「うん」
「ホントは産みたくないんだよねきっと」
「・・・・・・」
「だけど、そう思いたくないんだよ。 それに、堕ろすのは嫌なの」
「うん」
「どうしよう」
「んーーーーーーーー」

どうしようって言われても、どうしよう。

ワタシはひたすらブルー。
なんでこんなことくらいで、こんなにブルー?
ナナには気づかれていないとは思いますが。
なんだかバカだなあワタシって。

と思ったら、顔が笑っていたみたいです。
だっておかしかったんだもん。自分。バカで。
暗い顔じゃなきゃいいかな、と油断していたこともあり。

「何笑ってるのー?」とナナ。
「ああ。 ゴメン。考え事」
「・・・・・変なこと想像してたんでしょ」

変なこと?

ああ、エッチなことね。
つい今しがた話していた話の流れだと、そう思うかもね。
そういうことにしておこうっと。

「うん(笑)」
「やめてよねー。   何想像したの?」
「いろいろ」
「しょーがないなーもー」

ついでにいろいろ想像して、さらに暗い気持ちになったうつけ者じょりぃ。


「でもさ」とワタシ。
「なに?」
「産んじゃったときのこととか先のこととか考えると、なぜかワタシまでいろいろ不安になってるわけだけどさ」
「うん(笑)」
「・・・・末子ちゃんに会ったときは、確かもう2歳だったんだよ」
「ああ、そうだよね」
「もし産んだらさ、今度は産まれたときから見られるじゃん?」
「楽しみ?」
「うん」
「そうだよね。 あたしの子供ってすっごくかわいいしすっごくおもしろいから、じょりぃも楽しいと思うよ(笑)」
「うん(笑)」
「じょりぃにもね、子供が赤ちゃんからだんだん大きくなっていくとこ、見せてあげたい」
「うん」

ついでに、母乳もご賞味させていただけるかもしれないなんて思ってませんよやだなあ。

この話をしたら、ナナはちょっと明るくなりましたが。


結局しばらくして、さらにふたりでどんよりして。
ふたりとも、せっかくランチを頼んだのに、食欲なし。ほとんど残しまして。

店を出ました。

「じょりぃ、このあと帰っちゃうの?」
「うん」
「忙しいって言ってたもんね」
「今日は死ぬ気でがんばります」
「うちに寄ってく?」
「やめとく」

寄ってあげたほうがいいんだろうな、という感じではあったんですが。
ワタシも稼がないとこのサーバのレンタル料も払えなくなってしまいますからねってどうでもいいですけどそんなこたぁ。

「明日、病院に行ってくるよ」とナナ。
「うん」

ふたりして、心許ない顔をして「バイバイ」いたしました。


それからワタシはひたすら暗く。
ため息ばかり出ます。
何がこんなに憂鬱なのか。
よくわからないけどため息。
ワタシ、ため息って出ないのにな。


明日さっそく「どうだった?」って電話したら、うざがられるかなあ。
妊娠してるのかな、してないのかな。
してたとしたら、ナナは産むのかな。
ていうか、避妊ちゃんとしてください!そこの夫婦!


鬱々としながら、それでも仕事。
なんでワタシったら鬱々とするのでしょう。
答は勝手だからです。
ナナがパパとそーゆーことをしたのがハッキリ形になったのがイヤなんです。
子供ができるとまたナナと会えなくなるのがイヤなんです。
そういう自分がイヤなんです。


夜の11時すぎ。 電話が鳴りました。ナナです。


思い詰めて電話してきたのかな。
今日はワタシが忙しいことよくわかってるはずだから、電話してきたということは、何かよほどのことです。
いつも忙しいの無視してかけてくるじゃないかというツッコミはさておき。


びくびくしながら電話を取りました。

「もしもし?」
「あ、ナナです。今日はどうもいろいろとスミマセンでした」

ナナの声のテンションが低いです。
やっぱ思い詰めモードかなあ。


「どしたの?」とワタシ。
「ええと     来ました」

は? どこに? 何が?

「え?」
「生理(笑)」




なーーーーーーーーーーーーんだ。


「そう。 よかったじゃん」
「うん(笑)」
「そんなこったろうと思ったよ」
「スミマセンでしたー」

ナナ、えらいバツが悪そうです。当然だこのやろう。

「人騒がせなヤツだな(笑)」
「だって、遅れることがないんだもんあたし。ビビるじゃん」
「いや。遅れることがないってことはないと思うよ。 今回とか前みたいに、『妊娠?』てなっちゃうときって、きっと何かにナーバスになってて、生理が遅れてることに敏感になってるから気づくだけなんじゃないかな」

いくらなんでも前後2〜3日の誤差はたまーにはあるでしょうからねえ。

「ああ。 心当たりがあるだけに、『もしやもしや』と怯えて生理日を気にしているわけか(笑)」
「そうだね(笑)」 けっ。何が心当たりだよ。
「たまーーーーーーーーにそーゆーことがあると、きっと神経質になっちゃうんだね」


ホントにたまになのかな。
もし本当に「一回でできちゃう」体質だとしたら、ホントにたまにっぽいですけど。 でもわかんないよな。
そういうことって、テスト勉強なんかと一緒で「してないよー」と言いながらちゃんとみんなやってるもんですからね。


「まあ、とにかくさ」とワタシ。
「はい」
「気を付けてよ」
「なにを?」
「ちゃんと避妊してください。 若い小娘じゃないんだから」
「わかりました(笑)。気を付けます」


「今日はゴメンね」とナナ。
「終わってしまえば楽しかった」
「映画、ちゃんと行こうね」
「うん。 でも」
「なに?」

ワタシ、鬱々としながら、ナナが産むことになったら・・とかいろいろ考えていたんですよ。
で、ナナが言ったように、妊娠からずっと見守れる(守りませんが)子供がいたら、それはそれで楽しいかも、またナナの力になれることができるかも、なんて前向きに考え始めていたので、それを伝えてみようかなと。

「他人事だと思って、気楽に考えるな(笑)」と怒られるかな?

「ちょっと残念だったかも」とワタシ。
「なにが?」
「子供さ」
「楽しみにしちゃった?(笑)」
「楽しみっていうか・・・いたらいたで、楽しいだろうなと思った」
「そっか。   ありがとう」

このときのナナ、すごく嬉しそうで。
なんというか、自分が否定されてない安心感を感じているのかな、という印象でした。

怒られなくてよかった。


ていうか、できやすいなら、エッチするときは十分気を付けてくださいよホントにもう。


とはいえ、今日は思い詰めモードだったから、ついワタシに「できやすいんだよね」と打ち明けたナナでしたが、今となってはバツも悪かろうと、ちょいとフォローしてやるか、くらいの気持ちで

「できやすいっていうのもさ、話半分に聞いてるからワタシは」と申し伝えて差し上げましたら
「うん。 まあ、そんな感じかもね」



なにっ?



思い詰めモードから解放された途端、いつものイヂワルナナに戻っておりました。


つ、つ、つかれたーーーーーー。
という、まったく人騒がせな妊娠騒動でございました。
避妊ちゃんとしろっ避妊。


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