ナナとワタシ
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2003年05月24日(土) 淫靡心誘発塔(なんだそれ)

とある、塔の中にふたりで登ったときのこと。

この日は月曜日だったかで、ふたりの貸切状態。
灯台みたいに狭い塔なので、なんだかこう、ワクワクします。
何か素敵な間違いが起きたりしないでしょうか。しないでしょうけど。

この塔の中、延々と続く階段の、踊り場ごとに小窓があるんですね。
外がやっと見られるような、ホントに小さい窓なんですけど。
いったい全部でいくつあったんだろう、小窓。
小窓があるたびに外を見るふたりなんですが。

窓がちっさいので、すごく接近してしまいます。
ワタシはなんか、下心があるように思われるとイヤなので(ていうか、あるからそう思っちゃうんだよな)、ナナがまず小窓を見てから、その後に見るようにしていたんですけど。

「ねえ、あの吊り橋ってどうやって行けばいいのかな? 見える?」
とか
「○○山はどれ?」
とか
「あれは県庁?」
とか
「あの川はなんていう川?」
とか。
けっこういちいち呼ばれます。つまんないことで。
そんなこと知りたいんですかあなた。
いちいち一生懸命答えるワタシもワタシですが。

一緒に小窓から見ようとすると、ホントに接近してしまいます。
人の顔の大きさくらいしかない小窓なんだもの。
そして呼ばれて一緒に見るたびに意識してしまいます。
いちいち何かを期待してしまう自分がイヤになったりもします。

ナナの方にはワタシが期待しているような気持ちはさらさらないことは、わかっちゃあいるんですが。
わかっていても、勝手に期待したり勝手にしょぼくれたりですね。

でも、期待しちゃいますよやっぱ。
説明終わってもしばらくそのままにしてるし。
たいていワタシから離れてしまいますが。下心に気付かれるのがイヤで。
で、ナナが歩き始めてから、あらためて窓にへばりついてみたり。
なんていうか、ふたりの行動がちぐはぐで、思いだしてみると笑えます。
2プレイヤーでするゲームを、一人で両方動かしているときのようなちぐはぐさ。(わかりづらい例え)

「なんだか楽しいねー、ここ」とナナ。

「うん。すごく楽しい。どこまでもどこまでも登ってって、帰ってこられなくなるほど登っていきたい」 

なにげに気持ちを伝えてみるけなげなワタシ。と、自分でけなげ言うのも気持ち悪いですけど。

「(笑) でもここってさ、なんかいやらしい気持ちにならない?」

「え」  え?

「薄暗くて狭いところを、こう、身を寄せて登ったり降りたりしちゃってさ。多くのカップルがここで気持ちを盛り上げるのだろうね」

「そ、そうなのかな」 

「だからまわりにラブホがいっぱいあるのかな」

「え」

「きっとみんないやらしい気持ちになるんだよ」

「なるほど」

「じょりぃは?ならない?」

「え」  

え?


一気にノド乾いちゃうから、そーゆー振りはヤメテ。


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