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2003年09月17日(水) 「阪神優勝」で星野監督に学ぶものなどは何もない

阪神優勝のお祭り騒ぎで、リオのカーニバル並みに何人か死者が出るのかと思ったら、
たかが大腸菌ウヨウヨの道頓堀川に5300人飛び込んだだけで終った。
18年振り優勝、そして不況をぶっ飛ばす熱狂といっても所詮、この程度のことか。
日本はまだまだ平和で穏和だと、安心した。
もし名古屋の立て篭もり爆発犯が阪神ファンだったら、焦るけれども、ね。

平和といえば、
阪神優勝にかこつけて、またぞろおバカなマスコミや評論家たちが
「星野監督に学ぶ経営・管理術」などとヨタ話を飛ばしている。
経営者でも何でもない私がいうのは僭越だが、
この手の、野球を企業になぞらえた話は、バカバカしいとしかいつも思えない。
こんなもの、マジメに読んでる経営者や管理職はホントにいるのだろうか。

考えても、みるがいい、
企業経営は、たかが6球団だけの相対的関係の中で競っているに過ぎないプロ野球が
参考になるほど、単純なものだろうか。
或いは、FAで阪神が金本や伊良部を取って優勝したように簡単に、
企業経営は好転するものだろうか。
・・・いまどき、経営学科の学生だってこんなたわけたレポートは、書かないだろう。

また、この手のヨタ話はしばしば、経営者と管理職を混同しているが、
プロ野球の監督を経営者にたとえること自体、そもそも不見識である。
プロ野球の監督は文字通りただの「現場監督」であって、
その上には球団フロントもあれば、親会社もある。
つまり普通の会社だったらせえぜえ部長クラスが関の山だ。
大した権限もないのに、経営者になぞらえても、しかたがないのである。

かといって、プロ野球の監督は中間管理職でもない。
日本のプロ野球の監督は、たいてい元スターでネムバリューがあり、
そして、注目されているからだ。
従ってかつての長嶋のように、ときにはその地位以上の役割も果す。
でも、一般の会社にそんな恵まれた中間管理職は、どこにいるのだろうか。

そもそも、野球は所詮「1年草」だ。
つまり、今年成績良くても来年どうなるかはわからない。
現に18年前の阪神は日本一の2年後は最下位に沈んだ。
だが一般の企業で、業績最高の年の2年後には倒産って事は
いくら何でも、ありえないのだから、野球と比較する事は
アテにならないのである。

もっとも、星野監督に「人心掌握術」は学ぶものがあると思う人がいるかもしれない。
だが、それもナンセンスである。
何故なら星野監督は「鉄拳制裁」による「暴力主義」の抑制でナインを掌握してきた人だ。
いくら日本の会社が前近代的だといっても今時、その真似をしたら、
傷害罪と人権侵害で告訴されるのがオチである。

断わっておくが、私は星野監督を誹るものではない。
ただ、阪神と星野監督の偉業はあくまでプロ野球の世界でのみ称賛されるべきものであって、
それを安易に一般社会に当てはめてはならない、ということだ。
その事を最もよく理解しているのは、他ならぬ賢明な星野監督自身である。


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