わたくしは、本を読むことはさておき、とにかく買うことが好きでして、部屋にはいつ読むのだかわからない本を積み重ねておりますが、わたくしがいたずらに買い続ける読まない本の多さに、大抵の人は勿体ない、あり得ないなどと呆れるものですが、そんなわたくしが新しく入った会社で、まだ同僚達とあまり馴染んでいないということもあり、わたくしの、あまり人には共感してもらえない、むしろうっすらとした反感を抱かせてしまうらしい、本を買って未読のまま積み上げる趣味の話などはできるはずもなく、そうこうする間に、読書の好きな方と話をする機会があり、その方が最近、賞を取り話題になった本を図書館で借りて読み、たいそう面白かったと言われるので、わたくしはつい「ああ、そうですか。私も読んでみたいものです」と申し上げたところ、親切なその方は「それなら、図書館への返却期日までまだ間があるので、お持ちしましょう」と言ってくださいまして、けれどその本をかなり前に既に購入していることは打ち明けられなかったわけで、自分で買って部屋で放置している本をわきに、借りた同じ本を読むというのも、なにやら複雑な気持ちがするものでございます。
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