| 桜 | 2005年04月07日(木) |
井の頭公園に桜を撮りに行ってきたんですよ。ええ、失業中なので平日の午後もふらふらできるんです。で、行ってみたら満開。思いっきり満開。そして、思いっきり人出。平日なのにものすごい人出。みんな失業中なんでしょうか。そうだと励まされるんですが。しかし、プロが撮る桜の写真には、花見客なんか写ってないですけど、あれどうやって撮ってるんでしょうね。桜の下には屍体が埋まってると梶井基次郎は言ってますが、死体よりもまず間違いなく桜の下にはブルーシートと酔っぱらいですよ。ゲロもどこかに埋まってますね。まあ、どうして日本人はこう桜が好きなんでしょうか。人のことは言えませんけど。遠い未来に火星に人が住めるようになっても、まず日本人は入植地にソメイヨシノを植林するんでしょうね。杉はやめたほうがいいですけど。まあ、しかし、桜の集客力は大したものですよ。ところでふらふら歩いていて気付いたんですけど、桜の下にはブルーシートがセットのように、もう一つセットを見つけましたよ。水辺にある古い桜は、枝が重くなって先端が水面すれすれまで下がってきているんです。水と桜、水面に映る桜、風情があってまことにいい感じです。火星でも是非、桜は水辺に植えてもらいたいものです。で、こう、絵になるのでデジカメなどで撮りたくなるわけですが、まず間違いなく、水面に垂れ下がってきた枝の先端には、カップルが乗ったボートが浮かんでいるんですよ。多いところでは三艘ほど群がってます。一艘は白鳥だかアヒルだかの形をしていたりして。女が枝の先端を持ってポーズしているのを、男が携帯で撮ったりしてね。もう、風流も何もあったもんじゃありません。邪魔だからどけろと心の中で念じても、あとからあとからカップルボートが来襲します。仕方がないので、井の頭公園の池でボートに乗ったカップルは必ず別れるというジンクスを思い浮かべて、自分をなだめてみたりします。ともかく、水面に下がる枝とカップルの乗ったボート、これもセットのようです。まあ、そんな光景も、人の多さも、酔っぱらいも、子どもの金切り声も、満開の桜の前にはどうでもよくはなりますけどね。ああ、春って感じです。人生的には今ちょっと寒い感じですが、やはり桜はいいものです。もうすぐ私にも春が来るといいなあ、なんて思いながらそぞろ歩きを楽しんでいました。その時です。携帯電話が鳴ったので出てみると、辞めた会社の、例の二ヶ月あまりパソコン指導と引き継ぎをやった意味があまりなかった「社内の人」からで、出るなり「あのさー、パソコンでわからないところがあるんだけど」と言われた時には、梶井基次郎のあの一節が天啓のように思えた私です。 |
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