後悔日誌
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2001年11月01日(木) 大悲閣


紅葉の名所、京都の嵐山へ旅に出た。
きっと山登りが出来るだろうなんてあまりに単純な考えだった。

京都駅についてから、さらに電車を乗り換えしばらく走り嵐山駅に到着した。
あまりに殺伐とした駅前に驚く。なんだ、ただの駅じゃないの。
変わっているのはトロッコ列車の駅がある事くらいかな。

地図で嵐山の位置を確認して歩き始めることにした。
途中でコロッケを買ったりしてちょっと満足。
気がつくと大きな寺が目の前に見えた。

世界文化遺産 天龍寺。
一度は通過したけど戻って見学することにした。

どこかみた事のある風景で懐かしい。
まるで一度来たことがあるような不思議な感覚。


…そうなんだよね、来たことあったんだ。数年前。
庭を見学しているところで思い出した。

そっか、あの時だ…。
同級生の京都の実家にお邪魔したとき案内してもらったんだっけ。
関西式のすき焼きに感動したのを今でも忘れていない。

ちなみにその同級生は私と同じ会社に就職したが肌に合わなかったようで既に退職した。
それ以来連絡はとっていないからどうなってるかも知らないが、沖縄のほうで船に
乗ってるとも聞いたことがある。元気な奴だったしきっとうまくやっているだろう。

そんなことを考えながらまた山へ向かった。

桂川にかかる渡月橋にさしかかるとそこはもう観光地。
勢いよく人力車が飛び出してきた。
ちょっと早い紅葉の嵐山をバックに桂川で舟遊びする人達も優雅でいい。

ところで、嵐山の登り口はどこかな、なんて探していたら突然名前を呼ばれた。
まさかと思って振り返ると2年前に同じ船に乗りあわせた奴だった。
元気か、なんて挨拶しながらその場で立ち話。
向こうも忙しいようでそのまま別れた。
名前も覚えていないし、これからも連絡も取ることはないだろうが偶然に感謝した。
聞けばこの先には山寺があるそうで、私も嵐山に登るのはあきらめて寺へ行く事にした。

山の麓、というか川沿いの道をしばらく歩き勾配のきつい坂道をぐんぐん登る。
登りきった所が小さなお寺だ。
ここは大悲閣(だいひかく)という。山の中腹ながら京都を一望できる景色が素晴らしい。
住職さんがひとり、修学旅行の学生さんに何かを説いていた。

のんびりとした時間が過ぎていく。
汗がひいて寒くなってもしばらく佇んでいた。
こんなところもあったんだ…。


ここで芭蕉はこんな詩を詠んだ
   花の山 二町のぼれば 大悲閣


疲れも取れ、足軽に山を下りた。
帰りは渡し舟で対岸へ。
名物料理の豆腐が食べたいな、なんて考えてたら財布に怒られた。
ちょっと高かったからね、またいつか。

ほんの数時間の出来事、小さな旅にも味がある。



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