ネタ帳

コノハナ【MAILHOME

新谷かおると水野英子
2005年06月15日(水)

水野英子の『白いトロイカ』に新谷が寄稿したイラストはカッコいい!

ハローハローみなさんこんにちは。
新谷かおると少女漫画 第5回(ん?6回だっけ 忘れた)は水野英子です。
水野英子といえば、トキワ荘の住人で、かの手塚治虫に天才少女と呼ばれ、少女漫画の基礎を築いた人といわれている人です。少女漫画史を語る上でモニュメント的存在で、なんでもはずせない重要な人だそうです。だそう、とここで伝聞調なのは、私も知識として知っているだけで、原体験として知らないためです。なにしろ、はじめてこの人漫画を読んだのはほんの数年前なので。
水野英子というと、私より2世代も3世代も前の人で、名前だけは聞いたことあるけれど、古すぎて本屋でも本が置いてなくて、それまで読む機会がなかったのです。名前だけはよくきくのだけれど、古くてすでに本がない。読んでみたいとは思っても、本がないことにはしょうがありません。そのため私はずっとこの人の作品を知らず、数年前に文庫として復刊してくれて、ようやく簡単に手に入り読むことが出来たのです。少女漫画好きを自称するわりに、水野英子を読んだことがないなんて、ちょっとなさけなさすぎですね。新しい読者を開拓してくれる名作漫画の文庫に感謝したいと思います。

私がはじめて読んだ水野作品は『ファイヤー!』です。少女漫画黎明期を語る上でかなり有名な作品ですが、この高名な古典の、はじまって数十ページ目で、主人公の男が、いきなり男に愛の告白をするのにはビビリました。

「生まれてはじめて母さんより、好きな人ができた、ファイヤー ウルフ」

水野英子、お前もか!
私はジュリアスリーザーの気分ですよ!

少女漫画の母といわれる水野英子もホモ漫画ですか?

少女漫画って、24年組の登場をまたずして、誕生したときから、ホモ漫画だったのか・・・。
少女漫画の記念碑的作品がホモ漫画という事実に、私は喜びましたゴホゴホ・・・打ちのめされました。どやら今日のJune漫画の隆盛はここが源流だったようです。その解釈であっていますよね?え?違う?

『ファイヤー!』は主人公の男がさまざまな女性遍歴を重ね、最後は発狂して、初恋の男のもとにつっぱしっていくというなかなか豪快な漫画でした。こんな内容だって知っていたら、もっと早く読んでいたのにな。ちぃおしいことをした。なんでもっと漫画解説書はこのことをアピールしないんだ。駄目じゃん、夏目某の助。
なお、この読み方は私の拡大解釈が入っていますので、真実は各自でたしかめるように。

さて、今日お話する『白いトロイカ』は、そんな水野英子先生の『ファイヤー!』と並ぶ代表作です。
現在一番手に入りやすいのが講談社文庫なんですが(といってもすでに品切れ重版未定)、このあとがきに新谷かおるが文庫化を祝して、イラストを寄稿しているのですよ。
こんな正当古典少女漫画に、新谷かおるの名前をみるなんて、意外なところに意外な名前を見るものですね。
そしてその寄稿されたイラストなんですけど、まさに古典少女漫画風コスチュームプレイって感じの絵で、とってもキレイなのです。ああ、新谷先生ってこんな絵も描くのですね。このタッチなんかなかなかいいですぞ。
新谷先生のお姫様絵を見たい人は、要チェックです。

このシリーズの文庫には、新谷先生以外にも、巻末に水野英子先生の大ファンという漫画家からの多数の寄稿イラストやファンレターがよせられています。そのメンバーがちょっと他に例をみないぐらい凄いのでここで紹介。
どのくらいすごいメンバーかというと、
いがらしゆみこ、原ちえこ、青池保子、名香智子、ささやななえこ、森川久美、羽津彬子、中山星香、佐伯かよの、木原敏江、里中真智子
今の少女漫画界を代表するようなそうそうたる、顔ぶれ。
なんと寡作でしられる高野文子もいました。高野文子ファンなら絶対買いだ。

こうしたベテラン先生方が、水野先生にあてて、イラストやらファンレターやら、1ページつづあたれられたフリースペースの中に熱烈に書いているのですが、その描き方が、よくある漫画文庫の解説のエール交換みたいな事務的ないものと違って、一読者である少女が、憧れのまんが家の先生に、ファンレターを出す勢いで、熱烈なパッションでつづってくれているのです。
日本の少女漫画界を代表するような巨艦クラスの先生が、子どものようにはしゃいでいて、読んでいて頬がゆるみますね。きっとみんな水野先生が原体験だったんでしょうね。

(一番爆笑だったのが、名香智子。日ペン美子ちゃんもびっくりな水際立った縦書きの達筆で、礼儀正しくファンレターをしたためていた。そして元祖日ペン美子ちゃんの作者・中山星香嬢は、得意のヘタウマ技法で、メルヘン全開のお姫様絵と、日ペンで字を習ったほうがいいんじゃないか?という下手クソな字を書いていた。)

これをみると、水野英子という漫画家がいかに巨星であり、いかに後年の漫画家に影響を与えたか、よくわりますね。私的にはホモ漫画家の称号第1号を贈りたいと思うのですが。

それにしても新谷せんせいは、青年誌で書いているわりに、少女漫画家と名をよく連ねる人ですな。まあもともと少女漫画家だったらしいんで、その関係もあるかもしれませんが。一条ゆかりのアシスタントもしていたぐらいだし。

しかし、この『白いトロイカ』は、原ちえこの『フォスティーヌ』の思いっきりパクリですな。
ストーリーからキャラから、エピソードまでおもいっきりパクッちゃっているじゃん。
今だったら、即効で「水野英子 そこまでパクッちゃっていいの?」スレが立ちそうです。

いや、もちろん、言い方が逆なのはわかっていますよ。
原ちえこが『白いトロイカ』をモチーフにして、『フォスティーヌ』を作ったって。
でも、私の感覚からすると、『フォスティーヌ』が先で、『トロイカ』のほうが後なんだよね。
私の原体験は『フォスティーヌ』だったんで。




BACK   NEXT
目次ページ