それは昨夜現れました。
玄関の前にちょこんと現れました。
数週間前にお目にかかったばかりだったのに、よほどワタシに逢いたかったのでしょうか?
それは今までにない大きさでした。
大きく手を広げたその姿は威厳さえ感じるほどでした。
それはじっとしていました。
ワタシに危害を加える気はないようでした。
しかし、ワタシはその息の根を止めようと思いました。
なぜなら、ワタシの頭の中には
虫=殺すという図式があるからなのです。
ワタシは隊長を呼びました。
隊長に殺せ命令を出しました。
しかし、隊長は拒みました。
なぜなら、それは家の中にいるワケではなく、玄関ポーチの中にいるのです。
私達が家の中に入りさえすれば、私達の視界からは外れると言うのです。
そして、それはあまりにも大きかった為、さすがの隊長も潰した時の感触を考えると気味が悪くてできないというのです。
意気地なしです。
使えません。
でも隊長の言うことも一理あります。
確かに家に入ってしまえばいいのです。
でも、次に扉を開けた時のことを想像してみて下さい。
怖いです。
怖すぎです。
やはりワタシは殺すしかないと思い直しました。
ワタシはただ一人。
ヤツと格闘し、ヤツの息の根を止めました。
お見せしましょう。
ヤツの姿を。

ハジメマシテ。
僕がカニグモです。
ホントはダークグレーなんだけど、キルちゃんが大量のファミリーパワージェルを僕に振り掛けるから変色しちゃったの。
いやん、恥ずかしー。
それとね、ちょっと縮こまってるけど、両手を広げればたっぷり15cmはあるの。
かっこいいでしょ?えっへん。
それからキルちゃん?
殺しっぱなしにしないで、ちゃんと捨ててね?
それに泣きながら殺すのなら、野放しにしておいてくれたらいいのに。
キルちゃんってへ〜〜んなの。
それじゃ、また僕の一族が遊びに来ると思うけど、宜しくねぇー♪
殺すのもイヤだけど、その後がもっといやーん。