隠喩と暗喩の対話

日々の心象を抽象的な言葉で。隠喩のはけ口、いわばポエム。

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2001年11月20日(火) :主題と応答

どこからかの続き。



[519]生存確認

誰かさんがオンラインになりました
誰かさんがオフラインになりました

そいつは一瞬の出来事


Web【なみきんぐ】の「詩」のページを開いたとき、画面の隅っこで、「○○さんがオンラインになりました」「○○さんがオフラインになりました」と立て続けに出た。誰かさんが一瞬だけオンラインになったのだ。その出来事を記録しただけ。

オンラインであってもオフラインであっても、それが「生存」していることと完全に一致するとは限らない。ラインの向こうでIDの持ち主は既に亡く、家族の誰かがPCの電源を入れたのかもしれない。そもそも、IDの持ち主なんて実在しないのかもしれない。

ラインの向こうで自分と会話してきた誰かさんが、よく出来た人工知能であっても別段不思議じゃないのさ。チューリングテストってヤツだね。ゲイムに感情移入するのと大して変わらない。




[542]ラジヲのように

また何処かで火事が起こる
便座が冷たすぎるから


うんこしようと様式便所に腰掛けた時、ひゃっとする。その瞬間閃いた詩。もう便座が冷たい時期なんだなあと。季節感を詠った詩。

題名は、フランスのシャンソン歌手ブリジット・フォンテーヌが先鋭ジャズ集団A.E.C.(Art Ensemble of Chicago)と組んで作った超名盤「ラジオのように」('70)より。「和田ラヂヲのように」って意味も含めて。

ついでに明かしてしまえば、詩自体も同作品の一節「世界は寒い 寒い 誰もがそれに気付き始めている そして何処かで 火事が起こる 寒すぎるから」を思い出してぱくったものだ。

同アルバムは、シャンソンでもなくJazzでもなく現代音楽でもなく、とにかく不思議な香りぷんぷんの傑作。ゲテモノ扱いされて「プログレ」の烙印を押されたり。時々BGMとかで耳にするよ。ほんとに。




[544]コール・アンド・レスポンス

抽象的なことしか言わないけど勘弁してね

斜め後ろ向きに乗り込んだ人力飛行機
羽が不恰好だからまっすぐ飛べない
歪な円軌道を描いて堂堂巡りを繰り返す
またもとの場所に戻って来るのだけど
相対的に高度が落ちている
時に羽を休め 時に必至にペダルを漕いで
それでもいつかは水面にぽちゃん

これで許してちょんまげ




「人生観」ってヤツだね。



作者:不落斎
出典:Web【なみきんぐ】




はい。作品と解説です。10月の末から散々、特に詩にあれこれ注釈つけるのは時にして作品を冒涜する行為だ!と言ってきた、その冒涜行為を実践してみました。興ざめしたでしょ?最初から盛り上がってないって?それは私の力量不足ですごめんなさい。

多くを語らない言葉の隙間や行間から、それぞれ好き勝手に想像したり思いを馳せたりする自由が、詩の意義であったり、普遍性を持つ理由であったり。それを単一のゴールに結びつけるような解説は野暮ですよ。ちょーやぼったいって感じー?

「コール・アンド・レスポンス」の解説。1行だけど、

(うわー!それをいっちゃ台無しだろ!)

とげんなりするには十分すぎる一言だと思うんだけど。どう?


どこかへ続く。


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