隠喩と暗喩の対話
日々の心象を抽象的な言葉で。隠喩のはけ口、いわばポエム。
どこからかの続き。 [519]生存確認 誰かさんがオンラインになりました 誰かさんがオフラインになりました そいつは一瞬の出来事 Web【なみきんぐ】の「詩」のページを開いたとき、画面の隅っこで、「○○さんがオンラインになりました」「○○さんがオフラインになりました」と立て続けに出た。誰かさんが一瞬だけオンラインになったのだ。その出来事を記録しただけ。 オンラインであってもオフラインであっても、それが「生存」していることと完全に一致するとは限らない。ラインの向こうでIDの持ち主は既に亡く、家族の誰かがPCの電源を入れたのかもしれない。そもそも、IDの持ち主なんて実在しないのかもしれない。 ラインの向こうで自分と会話してきた誰かさんが、よく出来た人工知能であっても別段不思議じゃないのさ。チューリングテストってヤツだね。ゲイムに感情移入するのと大して変わらない。 [542]ラジヲのように また何処かで火事が起こる 便座が冷たすぎるから うんこしようと様式便所に腰掛けた時、ひゃっとする。その瞬間閃いた詩。もう便座が冷たい時期なんだなあと。季節感を詠った詩。 題名は、フランスのシャンソン歌手ブリジット・フォンテーヌが先鋭ジャズ集団A.E.C.(Art Ensemble of Chicago)と組んで作った超名盤「ラジオのように」('70)より。「和田ラヂヲのように」って意味も含めて。 ついでに明かしてしまえば、詩自体も同作品の一節「世界は寒い 寒い 誰もがそれに気付き始めている そして何処かで 火事が起こる 寒すぎるから」を思い出してぱくったものだ。 同アルバムは、シャンソンでもなくJazzでもなく現代音楽でもなく、とにかく不思議な香りぷんぷんの傑作。ゲテモノ扱いされて「プログレ」の烙印を押されたり。時々BGMとかで耳にするよ。ほんとに。 [544]コール・アンド・レスポンス 抽象的なことしか言わないけど勘弁してね 斜め後ろ向きに乗り込んだ人力飛行機 羽が不恰好だからまっすぐ飛べない 歪な円軌道を描いて堂堂巡りを繰り返す またもとの場所に戻って来るのだけど 相対的に高度が落ちている 時に羽を休め 時に必至にペダルを漕いで それでもいつかは水面にぽちゃん これで許してちょんまげ 「人生観」ってヤツだね。 はい。作品と解説です。10月の末から散々、特に詩にあれこれ注釈つけるのは時にして作品を冒涜する行為だ!と言ってきた、その冒涜行為を実践してみました。興ざめしたでしょ?最初から盛り上がってないって?それは私の力量不足ですごめんなさい。 多くを語らない言葉の隙間や行間から、それぞれ好き勝手に想像したり思いを馳せたりする自由が、詩の意義であったり、普遍性を持つ理由であったり。それを単一のゴールに結びつけるような解説は野暮ですよ。ちょーやぼったいって感じー? 「コール・アンド・レスポンス」の解説。1行だけど、 (うわー!それをいっちゃ台無しだろ!) とげんなりするには十分すぎる一言だと思うんだけど。どう? どこかへ続く。
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