ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2020年07月23日(木) レクイエム

きっと彼は
自分自身を生きたかった
のだろうと思える

自分の素養や
将来への夢なんて
よく解らない頃から
歩んで来たその道で
全身全霊を掛けて
別の誰かになり
早くから評価を受けて

足りない部分や
補えない部分がある
そのことをきっと
誰よりも
自覚していたはずだし
だからこそ
人一倍の努力もした

けれどもそれらは
自分ではない
ナニモノか
になる為であって
それは永続的な結果を
もたらすことなく
泡のように消えては
また次を膨らませる

その
繰り返しの中で
もっとゆるぎない
たゆまぬ努力が
いつかきっと
大きく結実するような
生き方があるのではないか
と希求する

けれども
その試みは阻まれ
いつか帰れるかもしれない
希望の故郷も失い
仕事はずうっと先まで
切れ目なく決まり
ドアからドアへ
自分でないものを演じに

それでも
期待してくれる誰か
頼って来る誰か
自分の為に
動いてくれる誰か
に対して
裏切ることは出来ない
から

でも
自分はどこに居る?


今感じる本当の気持ち
いつかやってみたい
と思っていたこと
子供の頃
何が好きだったっけ
まっさらになって
自分の人生を
選び直すとしたら
何がしたいんだろう

そんなことを
考えてみて
けれども
到底今更は
抜け出せない現実と
行ったり来たりして
飽きるほどあの自粛の日々を
過ごしていたとしたら

再び動き出した日常に
また迎えを待って
ドアからドアへ
それ以外は
籠の中の鳥のように
羽ばたけもせず
啼くこともしない


出来るなら
今彼が
誰かを演じるその中にも
自らの魂が
ちゃあんと刻まれていたと
感じられていますように

本当は
空を飛ぶことだって
出来る位に
自由だったってことを
思い出せていますように


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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