1996年製作の ハムレットを観た
原作は記憶の彼方で あらすじさえ ほとんど覚えていないのだが だからこそ セリフの省略がないという この映画を観る価値があった
父の亡霊に 叔父の計略を告げられ 仇を討ちたいと思いながらも 錯乱するハムレットの姿は 今で言えば 父親の視点をどうやって 自分の中に取り込み 自立して行くか の物語かもしれない
のほほんと育った王子様が 生臭い現実を知ったとき ただ亡き王の手足となって 目的を遂げるのではなく チャンスがありながら 相応しい時を待つ というのは そういう事ではないだろうか
母を取られた嫉妬は当初 息子としての自分と 父の視点が混在していたが やがて母に箴言する頃には それまでのハムレットではなくなった ある意味その場面は 象徴的な母殺しなのだと思う
母殺しができていないうちは 一人の女性を きちんと愛することもできない それもまた 自立へのひとつの手がかりとして 重要なエポックに違いない
それらの事は 取り返しのつかない 悲劇と引き換えでなければ 気付きようもないのだが これほど演劇的でないにしろ 似たようなことは 現代人の中にも映し出せる
人間の欲望や野心など 暗部を捉えたとは よく評される作品だけれど 普遍的な心的成長の物語 とも取れるのは 意外な発見だった
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