ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2010年03月20日(土) 錆びた鋏

探し物をしていたら
この家の
壊れた古い桐箪笥の上に
箱があって
古い裁縫道具が出てきた

実はそんな風に
未だ全てを
発掘し切れていないのだが
絹用の針や糸と
錆びた裁ち鋏がふたつ
ひとつには握りの部分に
細かいレリーフが施されていた

それと一緒に
壊れた眼鏡
きっと縫い物をするときだけ
掛けたのだろう
と思って透かして見ると
向こう側はぼんやりで
どうも老眼ではないらしい

もうひとつの箱の中は
小さなポーチなどが入れられ
がま口からは
折りたたんだ50銭紙幣
昭和二十年とあった

年代から察するに
わたしが越す少し前に亡くなった
この家のお母さんではなくて
きっとそのご主人を産み育てた
お母さんのものだと思う

それはどういうワケで
取って置かれたお札なのか
本人が亡くなったあと
誰も気付かず
とうにその頃の価値は
失われてしまった

せめて
錆びた鋏を磨いて
その美しさを
蘇らせてみたい


 < 過去  目次  未来 >


ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

My追加