田舎道を 奥へ上がったところにある 手打ちのお蕎麦屋さん 白い暖簾が風にひらひらして ちょうどひとしきり お客さんが終わった時間
広々とした 普通の民家の 開け放した座敷風の 入り口近くにいつも 古い着物が掛けてあるのだが 昨日は眼の覚めるような 黒地に緑の竹が織られた大島
何度か縮緬は見ていたけれど やっぱり好きな しゃっきりとした紬 しかもいかにも古い 短い袖の仕立て 織りも今の大島とは違って 横絣にざっくり感があり そこがまたすごくいい味になっている
お店の奥さんによると それは頂いたものだそうで 季節によって 掛ける着物を変えているとのこと そんなお話から始まって まだ他にもあると 押入れから出てきた数点を前に 着物談義をしばし
みいんなほかしなる というお言葉どおり 声を掛けられなければ ゴミになっていた着物 その勿体ない精神は ひょっとしたら お蕎麦に添えられている 自然のものを工夫したお料理にも 反映されているのかもしれない
もっちりとした椿や さくさくのスギナの天ぷら ここら辺ではだんじいと呼ぶいたどりは 皮を剥いてポン酢に漬けただけで 立派な一品になっていたし 考えてみれば 初めてユキノシタを食べたのも このお店だったのだ
もちろん肝心のお蕎麦は 特に蕎麦好きではなかったのに ここのを食べたら 他では食べる気がしない程 いつ来ても こころから満たされるお店と また少し 繋がり深まったような日だった
|