ちくちくちくちく 手縫いをしていると ふと 祖母を想う
と言っても 縫っている姿は記憶にないが 小さい頃親に連れられて 海の近くの街で 雑貨屋をしているその家に帰省すると 綿入れのかいまきが沢山あった
それらは確か 所々で木綿の布を繋ぎ 襟元には 黒い生地を使っていて もちろん真綿ではなく 本綿の重みのあるものだった
沢山あったのは 母を長女として 兄弟姉妹が多かったのと ひょっとしたら帰省で 大人数が集まるのを思い 祖母がせっせと 縫っていたからかもしれない
それはおそらく特別のことではなく 北の地の冬を越すために 昔からなされていた 主婦の手仕事だったのだろう ひとがたに作られた綿入れは 布団の下でより身体に近く 添ってくれていたように思う
どんな風に縫われていたのか 今では直接訊くこともできないし 遺されたものを見ることも叶わない けれども なかなか進まない針目に へたりそうになると 祖母の仕事を思い出し 自分に喝を入れるのだった
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