昨日は 着物を解きながら 能を見ていた
能はトランス と聞くが 斉唱される謡の部分は まるでグレゴリオ聖歌のようで いかにも和の調子が どうしてそう響くのか 何度も確認しようと 耳を澄ませた
能の謡は聖歌とはちがって 神への言葉ではなく 話の筋に関わる内容なのだが 能で演じられる主題の多くが 解脱という この世ならぬものへの希求と知ると 共通する部分があるのかもしれない
延々と 同じような調子が続くようなのに 深い感情が揺さぶられる それは普段 笑ったり泣いたりすることでは 表現できない 魂の底にあるものが ゆらりと動くような感覚なのだ
つける面や 纏う衣装のつくりや色や着付け ほとんどないと思えるような動作 それらは意味を持った必然として 厳格に決められている ぎりぎりまで削ぎ落とされた結果 作り出された表現がそこにある
能面のよう と譬えられる奥には 見える人にしか見えない さまざまな表情が隠されている
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