愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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2015年09月23日(水) 若真ネタ21

 若菜は、コンビニでバイトしつつ、教習所通い。真田は、家庭教師のバイトは週一くらいだけど、1月下旬からテストが始まる。お互いまあまあ忙しく、特に連絡も取らないまま、2月半ば。2/14は日曜日。真田から、「うちの母親がチョコレートケーキ作ったから持ってっていい?」と連絡があり、届けに来ることに。ちょっとくらい上がってくかと思ったが、渡しに行くだけだし車で行くし(来客用駐車スペースはない)、ってことで、マンションの下で受け渡し。
「おー、すげー」
 チョコレートケーキがワンホール入った箱は、バレンタインらしくラッピングされてる。
「ありがとな」
「うん。あ、教習所はどう?」
「仮免取れたから路上出た。学科も、何とか大丈夫そう」
「そうなんだ、よかった。じゃあ、もう帰るから」
「あ、」
「何?」
「お前個人から俺個人へのチョコはないわけ」
「ケーキがあるからいらないだろ」
「それは、一馬のお母さんからじゃん。お前から俺にあるなら、貰うけど?」
 両手で抱えてたケーキの箱を左手で持ち替え、右手を、頂戴するように差し出した。
「図々しい」
 と、言いながら、真田は鞄から小さな包みを取り出し、若菜へ。市販のチョコです。
「はい、ありがとよ」
「何故あると思うのか…」
「実際あったろ。ていうか、俺が言わなきゃ渡さんつもりだったのか。そっちのが何故だよ」
「一応用意してみたものの、いらないかと思って」
「いるわい」
「何であるって思ったんだ?」
「ん? だって、お前、真面目じゃん」
「何その理由。そこは『だって、お前、俺のこと好きじゃん』とか」
「えー。さすがにそこまでは図太くない。そんなふうには思ってねーし。ともかく、お前は真面目だから、きっと別に用意してるって。なのに、渡さない方がいいかも、って迷ってるんじゃないかと思ってな。ほんと真面目なんだから。当たってるし」
「うるさい。真面目って何回も言うな」
「真面目以外の何ものでもないです。そういうところも好きです」
「ああそうですか。ホワイトデーが楽しみだな」
「せいぜい楽しみにしとくがいーわ。考えとけよ、まじで、何がいいか」
「冗談だよ。別に何もいらないし。じゃあ、ほんと帰るから」
「おー、じゃあな」
 背を向けて、車に乗ろうとする真田に、
「ほんとに考えといてよ。別に何もいらんとか、傷付くわ」
 割と真剣に声をかけると、
「勝手に傷付いとけ」
 だってさ。
 真田を見送ってから、エレベーターに乗ろうとするも、思い直して階段で上る。今更なんだよな、と若菜はしみじみ思う。悲しくなる、とか、傷付く、とか、何言ってんだか、って感じだよ。何のアピールだよ。気を引きたいのか? 俺が悪かったすまん、で終了でいいじゃないか。ずっと謝りたかった。そして謝った。だからそれでいい。もう好きじゃないのかとか、そういうとこも好きとか、冗談でも言うべきじゃないのに、本気だし。
『別に何もいらない』
(…そうか。まあ、うん、そうだよな)
 自分から真田にあげられるものなんて、きっともう何もないのだ。と、ネガティブに考えてみたり。責任取る、なんてさ。そんなの、どうやって。取るのは、責任じゃなくて、免許だろうが、とりあえず。
「あ、」
 そういや、ハンカチ返し忘れた。


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