愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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2015年08月02日(日) ある夏の日の出会いと別れ

 出会ったその日に、理由も分からず、イケメンに恋されて、グイグイ押されて、最初は戸惑うものの、いつの間にかほだされて…、みたいな、そんなん、よくあるパターンですが、男女ならともかく、ノンケの男同士でまさかそんな。まあでも、作り話ですからね。夢物語ですよ。なんて考えを、私は改めますよ。ありえますよ、そのようなことは。ていうか、あったから。見たから。この目で。現場に居合わせたから。子供同士ですけど。恋ではないですけど。海水浴に行っとったんですよ。またもや。フェリーに乗って島に行ったんです。船に乗ってるとき、家族で海を見ていたら、親しげに話しかけてくる男子小学生がいました。仮に彼の名を、一郎としますよ。一郎君は小一です。そのとき、一郎君は、もっちゃん(我が子。四歳です)とはあまり接せず、私と夫と話しているだけでした。島に着いて、海で泳いでいると、一郎君がやってきて、もっちゃんと遊んでくれる。めっちゃ遊んでくれる。もっちゃんが、気のない素振りというか、いっそ嫌そうでも、全然気にしない。グイグイくる。一郎君は、三人兄弟の長男なんですよ。二郎君と三郎君も近くにいるわけです。なのに、もっちゃんと遊ぼうとする。二郎君に、「一郎!!」って呼ばれてんのに、もっちゃんを構うんだ。なんでなの、一郎はん。と思いつつも、まあ、初対面の子が新鮮で興味深いこともあるだろう、くらいに思ってました。そんで、一郎君も、常にもっちゃんを構うわけではなく、たまに思い出したようにちょっかい出してくる程度でした。時間は経ち、帰りの船の時間になったので、港に向かう。港で、一郎君に会いました。そしたら、一郎君が、もっちゃんの手を取り、「一緒に船に乗ろう」って言ったんです。もっちゃんは、うん、とも言わず、でも、手を払うこともなく。結局二人は、手に手を取り合って、乗船しました。そんで、私ら家族は、一郎君家族と通路を挟んで隣の席に座りました。そうするのを、二人が望みましたので…。通路を挟んで、一郎君ともっちゃんは隣り合ってるんですが、手を繋ぎたがるんですよ。実際繋ぐし。そして、通行する人の邪魔になる、っていうか、通行止めになってた。慌てて阻止する親達。一郎君が、もっちゃんに、「上(デッキ)に、海見に行こ。一緒に海を見よう」と誘う。そしたら、母親に、「子供だけで行っちゃ駄目。もう、ここでじっとしてなさい」って止められる。一郎君は、あっさり引き下がり、お菓子を食べ出す。もっちゃんと私が、自販機に行こうと席を立つと、「どこ行くの?」と聞いてくる。トイレ行くときも、「どこ行くの?」って聞かれた。お菓子を食べ終えた一郎君は、母親に「あの子と海を見に行きたい」って言う。そしたら、もっちゃんも、「一郎君と海見に行く」って。それぞれの父親が付き添って、デッキに海を見に行ったり、他の見知らぬ子も巻き込んで鬼ごっこしたりと、船内で遊びました。最初は、一郎君が、「あの子はどこ?」なんて言って、もっちゃんを追いかけてたのに、港に着く頃には、もっちゃんの方が、「一郎君、一郎君」言っとったわ。というか、もっちゃんは一郎君の名を知って呼んでたけど、一郎君は、もっちゃんの名前を知らんのよ。もっちゃんは自己紹介しないし、一郎君は名前を聞いてこないし。船を降りるとき、一旦バイバイしたんですが、どちらからともなく「一緒に降りよ」ってなって、またもや手を繋いで降りてった。その後、改めてバイバイしたんだけど、どちらの家族も港まで車で来ていて、同じ駐車場に駐めてることが分かり、じゃあ一緒に駐車場まで行きましょう、となったとき、一郎君が、「まだ手を繋いでおけるね」って言ったんです。これ、ほんとにそう言ったから。そんで、繋いでましたからね。一郎君のお母さんが、私に、「人懐っこ過ぎてすみません。いつもこんな感じなんです」って言いました。いつもこんななんですか、一郎はんは。誰にでもですか。罪な男…。一郎君、男前なんですよ。ここ、重要ですよ。私が好きな攻めの感じ(クールビューティーな王子様系?)とは全然タイプが違って、スポーツできそうでクラスのリーダーっぽい感じなんですが、そういうのもいいよね。って思った。今日初めて思った。まあそんな感じだったんですが、一郎君は、別れ際は非常にあっさりしてました。じゃあバイバイ、って背を向けたら、もう振り返らない。もっちゃんは、名残惜しそうでした。「バイバイ! またね! See you!」って、大きな声出してた。車に乗ってから、私は、「一郎君と遊べてよかったね。でももう多分、会えないよ」って言った。意地悪で言ったんと違う。思ったまま言っちゃっただけ。そしたら、もっちゃんが、「なんで? 会えるよ。また、すぐに」って、返したんだ。 
 と、このような出来事が、あったわけなんですよ。ありのままを書き記しましたが、多少脚色を加えてSS風に書けばよかった、と思うくらいです。一郎君家族は転勤族です。うちもそうです。またいつか、どこかの海で会えるといいな。


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