愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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今日は珍しく日記に書くようなことがある日だったので、たまには普通の日記を書きたいんだけど、今日もネタなんです(なんで…?)PC開く間ができたら、ネタは日記とは別にしたい…。というか、はよ終わらせたい(素)もういいって気になってきた(素) 以下続きです。 そうこうしているうちに、中間テスト間近です。真田は、常々、授業の復習やらを自宅学習しておりますので、テストだからって慌てたりしないよ。って、すごいな。そんな高校生もいるんだな。テストが迫る休日、クラスの友人何人かで、図書館で勉強するかってなって、誘われる。真田は、一人で家でやったほうが進むんだけどな、と思いつつも、嫌だと感じる程でもないので、行くことに。真田、クラスに友達いたんだね。よかったね。 入館して、すぐ気付いた。あの人(郭)がいることに。相変わらず、淡々とした様子で、机に向かっている。勉強してるんだろうけど、あまりに涼しい顔をしているので、雑誌でも眺めているように見える。そういえば、コンビニで会ったときもいつも、淡々としていた。何でもない様子で、道を教える。地図を描く。お釣りを拾う。渡す。カップ麺を拾う。それを買うと言う。何食わぬ顔をして。もしも、愛想よく微笑んでいたなら。きっと真田は、大きく気後れしてしまう。今でも充分、気後れしてるけど。 (ああ…) 真田は、ため息をつく。また、会ってしまった。嬉しいのか、困惑なのか、どっちでもないのか、どっちもなのか、自分の気持ちが自分で分からない。でも、また、会ってしまったのだ。 真田は、全然勉強に身が入りません。郭とは離れた場所に座っているので、郭の姿は見えないし、郭からも見えないし、それについては安心しているけど、郭のことばかり気になってしまう。真田の席からは出入り口が見えるので、郭が出て行かないかと、図書館の自動ドアが開閉する度に、目をやってしまう。 (あああ……) 仲間内で、もうそろそろ出るか、ってなった。腹も減ったしな、と言われ、もうそんな時間かと時計を見る。いつのまにか昼前だった。結局全然勉強できなかった。 このまま、帰るのか。まだあの人が館内にいるはずなのに。 「ごめん、俺は、もうちょっと残って、キリがいいとこまでやってから出る」 言うのに勇気がいることだったが、思わず言っていた。 「おー、さすが。真田は賢いもんなー」 冷やかすような調子ではあったが、特に気にした様子もなく、他の友人達は、またな、と言って出て行った。 つい、自分だけ残っちゃったものの、ほんとにあの人、まだいるのか? 出るのを見逃してしまってて、もういないかも。でも、それがどうした? それならそれで、仕方ない。また今度、改めてお礼を言おう。また今度っていつ? 毎度そう思って、未だに言えてない。今日言わなければ、きっと、もう言えない。そんな気がする。 真田は、小学生時代に、言おうと思ったことを言えずに悔いたこと(多分両想いの女子がいて、その女子は、真田に対して率直だったんだけど、真田は素直になれなかった。そして、女子は引っ越してしまった。)があり、そのことをふと思い出したりもした。 (よし、いるかどうか見に行って、いたら、言いに行こう。その前に、トイレに行って、ちょっと落ち着こう) それでトイレに入ろうとしたら、トイレから出てきたあの人と鉢合うっていう。 「「あっ」」 お互い驚いて、少し止まった。 「偶然だね。テスト勉強?」 先に口を開いたのは郭だ。 「あ、はい」 「そう」 じゃあ、と真田の横を通り過ぎようとする郭を、 「あの!」 と呼び止める。自分の声が、図書館中に響いている気がしてしまう。館内は、決して騒がしくはないが、人々の話し声や足音が、うるさいほどではなく聞こえていた。さっきまでは。なのに今は、シーンとしているように感じられる。言えるのか。今、ここで。トイレの前だけど。いや、トイレの前とかそんなの関係あるんだろうか。 郭が、何、と目で問うている。 「お忙しいところすみませんが、ちょっとお話が…」 堅苦しい…。 郭が答えるまでに、少し間が合った。 「ちょっと休憩しようと思って。ロビーに行くから、そこででいい?」 「あ、はい」 ロビーに向かおうとする郭に、真田がついて行こうとするので、 「トイレは?」 「…行きます…」 「じゃ、後で」 トイレから出た真田は、ロビーに続くドアの前で深呼吸する。まあまあ大きな規模の図書館で、ロビーもそれなりに広いし、人も多い。すぐに見つかるかな。 (いた…) すぐ見つかった。何故なら、出てすぐのとこにいたから。すぐ分かるように、そこにいてくれたんだろうか。さっさと終わらせたいから? 郭は、ペットボトルの水を飲んでいる。近々、真田は、同じ水を買って飲むだろう。そんな自分は何か恥ずかしい。 真田は、緊張しながら、郭の隣に座る。言えるだろうか。不安だった。でも、口を開けば、意外とあっさり言葉が出てきた。 「あの、何か色々と、度々、すみません。そして、ありがとうございます。道を教えてくれたことから始まって、お釣りを拾ってもらったり、カップ麺を拾ってもらったり。ご迷惑をおかけてして、すみませんでした。ありがとうございます。なかなかちゃんと言える機会がなくて、気になってて…」 言えた。ぎこちないけど、言えた。 「たまたまそこに居合わせただけだから、気にせずに」 郭は、何でもないように言った。 たまたま、そこに、居合わせただけ。実際その通りなんだけど、三度も。三度とも助けられた。自分にとっては、きっと幸運で、何かの縁を感じている、感じたい、でも、相手にとっては、きっと不運で、もういいよ、いい加減にしてくれよ、って感じなんだろう。それとも、そんな感じすらなかったり? 特に何も感じてないとか。何でもないのかも。どうでもいいのかも。 「テスト期間はバイト休み?」 「はい」 「敬語やめない?」 「えっ? ああ、つい。お客さんだから」 「店の中じゃないし、同学年だし」 「うん」 「話はこれで終わり?」 「はい、いや、うん」 「じゃあ、バイト頑張って。あと、中間も」 そろそろ戻るよ、と言って立ち上がる郭。 ああ、行ってしまう。そりゃそうだ。でも、まだ行かないでほしい。ほんとに? 近くにいると、緊張して、息が詰まるのに? でも、ここで終わったら、これだけになってしまう。店員とお客さんというだけ。たまたま同い年で、共通の友人がいたというだけ。何度かお客さんに助けられたけど、たまたま居合わせただけ。そして、たまたま、図書館で会っただけ。…どうしよう。どうにかしたい。どうにか先に、繋ぎたい。今、自分で、何とかしたい。…ほんとに? 「あの!」 まだ何かあるのか、と、さすがに不審に思うだろうか。でも、静かにこちらを見返す郭の表情からは何も読み取れない。 「俺、ちょっと、分からない問題があって、数学なんだけど。それで、もし、よかったらなんだけど、教えてもらえたらありがたいと」 まじでか。よくこんなこと言えたな。真田は自分で自分にびっくりしていた。迷惑だって分かってる。図々しい。引くかな。引いてる? 真田が、謝って前言撤回しようとしたところで、 「いいけど。俺に分かる問題なら」 (……神様……!)
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