ハイ、再び創作小説の世界です。お時間ありましたらお楽しみくださいー☆ *********************************** 【遠い雷】 かたんと音がした。 土曜日の放課後、しんとした図書室の片隅で。 ふと顔を上げると、私の斜め前の席に、同じクラスの上領嵐(カミリョウ アラシ)が 座るところだった。 立っていると、背が高くていつも見上げる形になる。 その端正とも言える横顔に一瞬見入ってしまうような感じになり、その感覚を 振り払おうと、私は声を出し、彼の名を呼んだ。 「・・・上領か」 「早いな、遠坂」 低い声でそう言う。参考までに私の名前は遠坂都(トオサカ ミヤコ)と言う。 高校2年。17歳だ。 「HRが終わってからすぐ来たからな。上領は直につかまっていなかったか?」 直というのは河合直(カワイ ナオ)と言って、やはり同じクラスで、上領とはよく 一緒にいる男子のことだ。背が低くて明るく、いつも騒いでいる印象があるが 憎めない。寡黙で冷静だが妙に迫力がある上領とは対象的で、でもとても仲が いい。と思う。 「ああ、少し話してから来た」 「ふうん?」 「剣道部はいつから試験休みになったんだ?」 数学の教科書や参考書をひろげながら、上領が言う。私は応える。 「昨日から。陸上部は?」 「こっちも昨日からだな」 一週間後の期末試験を前に、部活は休みになっている。 そして広げている古典の文章は、先刻からまったく頭に入ってこない。困ったものだ。
つづきます。しばしお待ちを。
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