| 2003年11月01日(土) |
永遠のマリア・カラス |
映画『永遠のマリア・カラス』を観に行った。 これが予想以上に、すごく良かったのだ。
劇中に流れた、ビゼー作曲のオペラ・カルメンの一節である“ハバネラ”、 そしてカラスが真夜中に目覚めて、歌う自分の亡霊を見るときに流れた曲 (おそらくはオペラ・トスカの中の一曲)。 観て、聴いていて、カラス役の女優ファニー・アルダンの迫真の演技と、 実際のマリア・カラスの歌声が溶け合って胸に迫り、思わず涙したほどだった。
その天性の声。何者も侵すことの出来ないような美しさと力強さを併せ持つ。 夜空に輝く月の光とか。宝石に例えるなら最高級のダイヤモンド。その輝き。 その神々しさ、神聖さ。光を感じさせる何か。 そんなものを彷彿とさせる歌声。 そして、カラスという存在は、きっと観客だけではなく、周りにいる人々をも 惹きつけてやまなかっただろう。そんな風に、思った。
主演のファニー・アルダンの演技力、すばらしい。 相手役のジェレミー・アイアンズも申し分ない。 そして、私の好きな映画の一つである“尼僧の恋”も撮った、フランコ・ゼフィ レッリ監督の、映像の美しさ。画面を通してにじみ出る、監督のマリア・カラスに 対しての愛みたいなもの。
だが、最も印象に残ったのは、マリア・カラスという一人の天才の、途方も無い 孤独だった。その孤独。誰も助けられない。神に選ばれた人の孤独。 それを、痛いほど感じさせられた。
そして、もう一つ思ったのは、カール・ラガーフェルドがこの映画のために デザインしたという、マリア・カラスが着る20点あまりのシャネルの服の 高貴な美しさ。ああ、シャネルの服は、こんな風に選ばれた人が着ると こんなにも美しいのかと。感嘆するような気持ちで、そんな風にも思っていた。
本当に、一見の価値ある、映画だったのだ。
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