| 2008年07月18日(金) |
今後1ヵ月間のイベントのご案内 ・・資料、石油高騰の謎 |
NPO法人生涯青春の会主催
今後1ヵ月間のイベントのご案内(7月18日現在)
主な連絡とお願い 1、8月は第1・第3グループの社会の情報交換会はありません。 2、鈴木秀一郎さんから第1グループの幹事をお願いいたしました。 3、イベントに参加したい方は、以下のイベント情報に参加登録をお願い致します。
〇2008年7月20日〔日〕 第3グループ 社会の情報交換会 13:30〜15:00 燕 福祉センターあおぞら http://mixi.jp/view_event.pl?id=32118537&comment_count=2&comm_id=695969
〇2008年7月23日(水)交流会 11:00〜14:00会 場 ナレッジスクエア 〇2008年7月23日(水)第1グループ 社会の情報交換会 19:30〜21:30 会 場 ナレッジスクエア http://mixi.jp/view_event.pl?id=32779444&comm_id=695969
〇2008年7月30日 交流会 11:00〜14:00会 場 ナレッジスクエア
〇2008年8月6日 (水)交流会 11:00〜14:00会 場 ナレッジスクエア 〇2008年8月6日 (水)第4・第5グループ合同の社会の情報交換会 19:30〜21:30 会 場 ナレッジスクエア http://mixi.jp/view_event.pl?id=33190735&comm_id=695969
〇2008年8月20日 (水)交流会 11:00〜14:00会 場 ナレッジスクエア 〇2008年8月20日 (水)第3回サバイバル研究会 19:30〜21:30 会 場 ナレッジスクエア http://mixi.jp/view_event.pl?id=32686406&comm_id=3315100 *お断り サバイバル研究会の未登録者は、このイベントに参加できません。
〇2008年8月27日 (水)交流会 11:00〜14:00会 場 ナレッジスクエア 〇2008年8月27日 (水)第1グループ社会の情報交換会 19:30〜21:30 会 場 ナレッジスクエア
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━━━━━━━━━━ ★石油高騰の謎 2~1
━━━━━━━━━━ 田中宇の国際ニュース解説 2008年7月12日 http://tanakanews.com/ ここしばらく、米政界では、高騰を続ける原油価格を下落させようとする動 きと、いっそう高騰させようとする動きが交錯し、鎮静派と高騰派とが暗闘し ていたように見える。
原油価格高騰の原因は、需給の逼迫ではない。今年1−3月、世界の原油生 産量は2・5%増えたが、需要量は2%しか伸びていない。ブッシュ大統領は 6月、サウジアラビアを訪問した際、サウジに原油生産増を要請した。サウジ 政府はブッシュに「わが国が増産しても、買い手はいませんよ。高騰の原因は 需給逼迫ではありません」と言ったものの、ブッシュのたっての望みというこ とで、一度の増産量として過去最大の日産20万バレルの増産をおこなった。 http://www.alternet.org/module/printversion/91226 http://www.ft.com/cms/s/0/bfc52ff4-3bcd-11dd-9cb2-0000779fd2ac.html
しかし、増産でサウジが出せたのは高品質ではない原油だったため、中国や 日本などアジア方面の精油所の中には、購入を断るところが相次いだ。消費者 であるアジア諸国が質の良い原油しか買いたがらないことは、原油の需給が逼 迫していないことを象徴している。「中国やインドの需要増が値上がりの原因」 「OPECの増産拒否が原因」という見方は間違っている。 http://in.reuters.com/article/businessNews/idINIndia-34084120080616
現物市場で需給の逼迫が起きていないのに、原油価格が高騰している理由と しては、先物市場(ニューヨークとロンドンにあるWTI石油先物市場)にお いて買いが殺到していることが考えられる。WTI先物市場には、現物受け渡 しなしの金融投機が許されるようになった2006年以来、900億ドルの資 金が流入しており、1億ドル流入するごとに1・6%の相場上昇要因になると 指摘されている。 http://online.wsj.com/article/SB121251666620041937.html http://en.wikipedia.org/wiki/Oil_price_increases_of_2004-2006
昨夏以来のアメリカの金融危機は、原油価格の高騰が元凶である。2002 年からの原油高騰の結果、米経済ではインフレが激化し、米連銀は05年から 金利を上げざるを得なくなり、変動金利型のサブプライム住宅ローンの破綻が 相次ぎ、昨夏の金融危機となった。金融危機後、連銀は利下げに転じたが、こ れはインフレを悪化させ、原油価格の高騰が加速し、高騰は穀物や貴金属にも 飛び火した。
連銀内では、インフレ抑制を重視し、利上げに転じるべきだと主張する勢力 と、利上げは金融機関を減益にして金融危機を悪化させるとして反対する勢力 の間で論争が続いたが、6月は利上げ反対派が勝ち、利上げが見送られた。イ ンフレ抑制策が見送られ、原油や穀物、貴金属の値上がり持続は間違いないと 見た投資家は先物買いに殺到し、原油価格の高騰に拍車がかかった。 http://www.ft.com/cms/s/0/8f936e3a-33ef-11dd-869b-0000779fd2ac.html
米政界では、原油先物相場に対する投機の動きを規制して、原油価格の高騰 を沈静化しようとする動きが広がり、6月17日から米議会下院で、原油先物 投機についての調査が開始された。これが、鎮静派の動きである。議会が原油 先物投機を規制できれば、原油価格は1バレル135ドルから70ドルへと急 落するだろうと、分析者は指摘していた。 http://www.csmonitor.com/2008/0624/p01s04-usec.html http://www.marketwatch.com/news/story/gas-could-fall-2-if/story.aspx?guid=%7B2673C102-68E0-41D9-9C9A-10EE2E723948%7D
▼イスラエルとイランの「軍事演習」
ところが実際には、その後も原油は値上がりし続けた。原油先物規制に乗り 出す動きに対抗するかのように、米議会下院では6月中旬、イラン制裁新法の 審議が本格化した。イランが核開発(ウラン濃縮)をやめない場合、イランを 海上封鎖することを大統領に求めることを含む法律(決議)で、海上封鎖は宣 戦布告と同義である。イスラエル右派の政治圧力団体AIPACの強い圧力を 受け、ほとんどの議員が賛同していた。 http://www.globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=CHE20080618&articleId=9377
6月20日には、イスラエル空軍が6月上旬に、地中海上空で100機以上 の戦闘機(F16など)が参加し、空中給油を含む長距離飛行の訓練を行った ことが明らかになった。訓練飛行の距離が、イスラエルからイランのナタンズ 核施設までとほぼ同じ900マイルだったため、ナタンズを空爆するための訓 練に違いないと報じられた。 http://www.nytimes.com/2008/06/20/washington/20iran.html http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/israels-dry-run-attack-on-iran-with-100-jet-fighters-851614.html
イスラエルと一緒に飛行訓練をしたギリシャ政府は「イスラエル空軍機がイ ランを空爆するには、探知されないような低空飛行が必要だが、今回の訓練は 高い高度で行っている。イラン空爆の訓練ではない」と否定した。しかし、マ スコミの世界では、米議会はイランとの戦争決議を審議し、イスラエルはイラ ン空爆の訓練を行い、いよいよイランとの戦争が始まりそうだ、とする報道が 広がった。 http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=61624§ionid=351020104 http://www.guardian.co.uk/world/2008/jun/29/israelandthepalestinians.middleeast
イランは「ウラン濃縮はやめない」と改めて表明し、イラン軍の司令官は6 月末「われわれのミサイルは、十分イスラエルまで届く」と警告した。 http://news.yahoo.com/s/afp/20080628/ts_afp/iranisraelnuclearmilitary
原油先物相場は、上昇を続けた。米イスラエルから攻撃されたイランが報復 し、世界の石油の2割がタンカーで通航するホルムズ海峡や、ペルシャ湾対岸 のアラブ諸国の油田も反撃によって破壊され、原油は300ドル以上になると の予測も出た。 http://wiredispatch.com/news/?id=220624 http://news.yahoo.com/s/thenation/20080703/cm_thenation/1096334096
7月9−10日には、イラン軍がミサイル演習を実施した。この演習を受け て原油相場はさらに上昇し、7月11日には、WTI原油は史上最高値を更新 し、1バレル147ドル台まで上昇した。 http://www.nytimes.com/2008/07/10/world/asia/10iran.html
実際には、イラン軍の演習は「張り子の虎」だった。1日目にイラン政府は、 4発のミサイルの発射直後の写真を発表したが、実際の発射は3発で、のこり の写真上の1発はフォトショップ(画像処理ソフトウェア)でコピーによって 加筆されたものと判明した。2日目は1発しか発射せず、しかも2日とも発射 したのは古い型のミサイルだけだった。 http://www.antiwar.com/justin/?articleid=13116
▼和解姿勢に急転向したアメリカ
6月初旬から7月10日ごろにかけて、米イスラエルがイランに侵攻しそう な感じは強まり続けた。しかしその後、本日にかけての約1週間は、アメリカ がイランと和解しそうな兆候が急速に強まっている。7月16日には、これま で国連(安保理5カ国+ドイツ。P5+1)とイランとの核問題をめぐる交渉 に参加することを拒否していた米政府が、態度を一転させ、7月19日にジュ ネーブで行われるP5+1とイランとの核交渉に、初めて高官(バーンズ国務 次官)を出席させると表明した。 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/15/AR2008071502647_pf.html
米政府はこれまで「イランがウラン濃縮を止めない限り、P5+1とイラン との交渉に参加しない」と言い続けてきた。イランは現在まで「ウラン濃縮は すべてのIAEA加盟国に認められた権利であり、交渉前に濃縮を止めろとい う要求は不当だ。交渉の中で、見返りをやるから濃縮を止めてくれとP5+1 の側が提案するなら、検討しても良い」と言い、ウラン濃縮を続けている。
米政府は、バーンズ国務次官はP5+1の交渉に同席するものの「傍聴」で あって「参加」ではなく、次回の交渉1回限りのことであり、米政府としての 態度の変更ではないと釈明している。この釈明は、米政界内の好戦派を煙に巻 くための詭弁とも思える。 http://ap.google.com/article/ALeqM5iVp6OcsznLJpeFv8SenE_EhxIpmgD91VQ44O0
7月18日には、英ガーディアン紙が、米政府はイランの首都テヘランで、 28年ぶりに外交代表部(事実上の大使館)を再開すると来月に発表すること に決めた、と報じた。 http://www.smh.com.au/news/world/bush-considers-embassy-in-iran-amid-dramatic-policy-change/2008/07/17/1216163059580.html
テヘランのアメリカ大使館を再開することを国務省が検討している、という 記事は、6月下旬にはすでに出ていたが、真偽のほどがわからない話で、イラ ン政府は「欺瞞的な話にすぎない」と一蹴していた。 http://ap.google.com/article/ALeqM5iVp6OcsznLJpeFv8SenE_EhxIpmgD91G25BG2 http://news.xinhuanet.com/english/2008-06/26/content_8446265.htm
今回のガーディアンの記事も、真偽は怪しいものがあるが、確定的であるバ ーンズ米国務次官の交渉出席の話と同時期に出たことによって「ブッシュ政権 は、北朝鮮に対して強硬策から和解策に戦略を一転したように、イランに対し ても和解策に転じた」とマスコミに思わせる効果を持った。米政府がイランと 和解する戦略に転換した、との見方から、原油相場は7月15日から3日間、 一気に下落を続け、3日で16ドル下落した。米議会で原油先物投機を規制す る審議が始まった、6月初旬の水準まで戻った。 http://money.cnn.com/2008/07/17/markets/oil/?postversion=2008071715
▼イランの石油利権はBRICへ
現時点では、イランをめぐる緊張度は下がり、原油相場も下落しているが、 この傾向が今後も続くかどうかわからない。先行きは不透明だが、一つはっき りしている傾向がある。それは、米欧がイランを制裁している間に、イランの 石油ガスの利権が、米欧企業から、ロシアや中国、インドなどBRIC諸国の 国有企業へと移転し続けていることだ。
イランの石油ガス利権について、欧米勢では唯一、フランスのトタール社が、 巨大なサウスパース・ガス田の開発に参画してきた。だがトタールは7月9日、 イランに投資することは非常に危険だと思える状態になったので、イランから は手を引くと表明した。 http://www.ft.com/cms/s/0/26088244-4ded-11dd-820e-000077b07658.html
その一方、3日後の7月13日には、ロシアのガスプロム社が、イランのガ ス田開発、ガス・パイプラインの建設などの包括的な開発契約をイラン側と締 結した。トタールが手放した利権をガスプロムが得たわけではないが、フラン ス勢が出ていき、ロシア勢が拡大した観は強い。 http://news.yahoo.com/s/afp/20080713/wl_mideast_afp/iranrussiaenergyoilgaspoliticscompanygazprom
そして、仏露交代の一連の動きがあった直後の7月16日、米政府はイラン との核交渉に国務次官を出席させることを決め、テヘランの米大使館の再開話 まで出てきて、フランス勢が恐れていた緊張関係は一気に低下した。トタール は7月13日になって、イランのガス田開発から撤退するつもりはない、と言 い直した。 http://news.xinhuanet.com/english/2008-07/16/content_8551805.htm
6月から7月にかけて、イランが米イスラエルに攻撃されそうだという見通 しが強まる中、中国はイランとガス田開発について交渉を続け、インドはイラ ンからパキスタン経由でインドまでガスを運ぶIPIパイプラインの建設計画 について話を進めている。 http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=61896§ionid=351020103
ロシアのガスプロムは、イランのほか、北アフリカのリビアとも、リビアが 輸出可能な天然ガスの全量を購入していく契約を結んだ。スーダンやナイジェ リアでも、旧宗主国のイギリスが、人権侵害を理由に制裁する姿勢を続けてい る間に、中国の石油ガス会社が入ってきて利権を取られ、アメリカがイギリス に味方して強硬姿勢でスーダンやナイジェリアの政府を威嚇するほど、これら の政府は中国に頼る傾向を強める状況にある。 http://www.russiatoday.ru/business/news/27518
イギリスは、ナイジェリアへの軍事介入(ナイジェリア軍の訓練)を検討し ているが、これはすでにイラクとアフガンで過剰派兵状態にあるイギリス軍に 新たな泥沼を与え、自滅させてしまうと英国内から批判されている。英米が自 滅的な好戦策から抜け出せない間に、中国やロシアなどが、どんどん石油ガス、 インフラ整備、商品の売り込みなどのビジネス利権を拡大している。 http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/richard-dowden-fuel-for-the-opponents-of-neocolonialism-865037.html
▼高騰派はチェイニーら
イランやスーダンなどの状況に共通しているのは、米英が制裁の根拠として いる「核問題」や「人権問題」の根拠に胡散臭さがあり、米英は胡散臭い言い がかりに基づく経済制裁を、軍事制裁(侵攻)にまで強めているがために、イ ランなどより米英の方が「悪」だという状況を作ってしまっていることだ。イ ランより米英の方が悪なのだから、ロシアや中国が、米英の制止を無視してイ ランと石油ガス開発の契約をしても、全く悪いことではない、という話になる。
国連のIAEA(国際原子力機関)によると、イランのウラン濃縮は、核燃 料を作るための低濃度に限定されており、高濃度の核兵器開発を行っている兆 候はない。米イスラエルが「イランが核開発をやめないなら空爆も辞さない」 と言っているのは濡れ衣である。
善悪問題ではなく「力」の問題としても、世界最強だった米軍は、イラクと アフガンで占領の泥沼に陥って過剰派兵状態で、イランを軍事占領することは 不可能だ。イランが空爆されれば、イスラム世界はイラン支持を強め、米軍は イラクから追い出され、イスラエルは自国近隣のヒズボラ、ハマスといったイ ラン系勢力とのゲリラ戦の泥沼で消滅する可能性が高まる。
米イスラエルによるイラン侵攻を主張しているのは、米チェイニー副大統領 とネオコン、AIPACなどイスラエル系右派、イスラエルの右派野党リクー ドなどの好戦派である。今にもイラン侵攻を挙行しそうな勢いの話を米英マス コミに流し、原油価格をつり上げてきた「高騰派」は、彼らである。
原油価格の高騰は、世界的なインフレを引き起こし、世界経済に非常に悪い 影響を与えている。アメリカだけでなく、中国やインドなども高インフレに悩 んでいるが、最終的には、ドルを基軸通貨として使い続けることの利得を失わ せ、ドルに対する国際信用を失墜させる。 http://tanakanews.com/071120oildollar.htm
私はチェイニーについて、これまでの記事の中で、しばしば「隠れ多極主義 者」の中心的人物とみなしてきた。今回の石油高騰の話も、チェイニーが隠れ 多極主義者であると考えると、納得できる行為である。読者の多くに、この納 得を共有してもらうには、これまで何回か試みてきた「多極化」についての分 析をしなければならないのだが、それは長くなってしまいそうなので、改めて 書くことにする。 http://tanakanews.com/080628china.htm
【続く】
この記事はウェブサイトにも載せました。 http://tanakanews.com/080719oil.htm
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