| 2008年05月04日(日) |
巨大な利益を上げる穀物メジャー |
5月2日北朝鮮の穀物不足量は166万トンに達すると書いた。見方によってはこの166トンは可愛い数字なのである。日本の小麦の輸入量約540トンである。平成16年の小麦の国内消費量は626万トンで国内収穫量は僅か86万トンである。お隣の中国は、小麦の世界�癸韻陵�入大国で800万トン輸入する
小麦の国際価額は2倍以上に上昇している。公式な報道はないが、穀物メジャーが巨大な戦略的な利益を上げている論を待たない。
以下から穀物メジャーの恐怖の戦略を引用しよう。 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=100489
穀物メジャーと通称される、数社の企業が世界の穀物貿易の70〜80%を握っている。各社のルーツは欧米各国だが、本社はすべてアメリカにある。
■戦略 穀物メジャーは、世界規模のネットワークを利用して各国の情報収集活動を行っており、その能力はCIA以上ともいわれている。
国際市場支配の戦略は以下のようなものが挙げられる。
・貿易量のシェアを握ることで、価格統制を図り、利益を得る。流通拠点を独占し、生産者側もコントロールする。
・WTOなどの国際機関に市場自由化政策を推進させ、食糧自給を崩壊、各国の市場に食い込む。
・貧困国には、安価な穀物を「支援」の名の元に大量供給し、現地の農産業を 破壊し、食糧輸入国へ転落させる。・・・・引用終わり。
最大のポイントは「安価な穀物を「支援」の名の元に大量供給し、現地の農産業を破壊し、食糧輸入国へ転落させる」日本はこのメジャー戦略にはまった典型だろう。小麦の輸入は、アメリカ310万トン、カナダ124万トン、オーストラリア111万トンとなっている。これは産地を示すだけで、大半は穀物メジャーを通しての輸入なのだ。
日本人は2000年来米即ち玄米を食べて生きてきたのである。なぜ「日本人はなぜパンを食べるのか」をエンピツに引用しました。これだけ穀物問題が広がっているのに、大豆(500万トン)・小麦〔540万トン〕・トウモロコシ(1600万トン)の輸入に何の危機感を持たない人は、どこかピントがずれていると思う。
農水省、小麦確保狙いカナダ・豪と「密約」復活 2008年05月02日09時22分 日本人はなぜパンを食べるのか〔エンピツに収録〕 http://www.enpitu.ne.jp/usr2/22831/diary.html パンの生産量 http://www.pankougyokai.or.jp/production/images_production/data5.pdf
---------------------------------------------------------- 農水省、小麦確保狙いカナダ・豪と「密約」復活 2008年05月02日朝日 食糧価格の高騰が深刻になる中、農林水産省が小麦の主要輸出国の豪州・カナダと輸出入量について「密約」を結んでいたことがわかった。小麦確保が重要な課題となったため日本側が持ちかけ、両国と00年度まで結んでいた「密約」を7年ぶりに復活させた。 豪州・カナダは小麦の輸出を政府が管理、貿易業務をそれぞれ民間企業1社に独占的に委託している。日本はほぼ全量を政府が輸入している。 小麦価格が急騰していた昨年12月、農水省の食糧貿易課長と両国の2社の幹部それぞれが、今後1年間の小麦取引量について保証しあう約束を東京都内で結んだ。価格については世界的な市場価格に基づいて算出することになっており、触れていない。 関係者によると、豪州は干ばつで小麦生産量が激減していたため、文書は作らず口頭での「約束」にした。カナダとは同じ「覚書」を2枚作り、所持し合うことにした。 両国と農水省の間には、73年の第1次石油危機後から00年度まで「密約」を結ぶ慣習があった。しかし日本は財政難で少しでも安いところから調達する必要性が高まったことなどから、慣習は解消されていた。 今年も「密約」を結ぶかどうかは「今年の相場をみてみないとわからない」(農水省幹部)。「密約」を結ぶと量は確保できるが、相場が落ち着いた時は足かせになり、安いところから調達できなくなる恐れがある。 小麦の輸入はアメリカ、カナダ、オーストラリアの3カ国からの輸入量が大部分を占めます。平成17年の小麦の輸入量は、アメリカ310万トン、カナダ124万トン、オーストラリア111万トンとなっています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本人はなぜパンを食べるのか? http://tsurumitext.seesaa.net/archives/200803-1.html 2008年03月24日
「いまになって、日本では『米を見直す』キャンペーンを始めていることは承知しています。しかし、すでに小麦は日本人、特に若い層の胃袋に確実に定着したものと私たちは理解しています。今後も消費は増えることはあっても減ることはないでしょう。私たちの関心は、とっくに他のアジア諸国に移っています。日本の経験で得た市場開拓のノウハウを生かして、この巨大な潜在市場に第二・第三の日本を作ってゆくのが今後の任務です。日本のケースは私たちに大きな確信をあたえてくれました。それは米食民族の食習慣を米から小麦に変えてゆくことは可能なのだということです」 1)
これはアメリカ西部小麦連合会の会長の、つい最近ではなく、70年代の終わり頃の発言だ。 日本人は第二次大戦の終戦まで、一般にパンを主食にした「洋食」を食べる習慣はなかった。戦前まではご飯に味噌汁、漬物あたりを基本にした食事が普通で、こうしたコメ中心の食事を何千年もかけて、ゆっくりと作り上げてきたはずだった。2) それがほんの数十年の間でここまで劇的に変わってしまったのは、なぜなんだろうか?
1950年代、アメリカは余った小麦の輸出先を探していて、都合のいいことに日本は食糧難で困っていた。敗戦のショックで、自分の文化にも自信を失ってたことだろう。そこでアメリカ西部小麦連合会の主導で、日本にパン食を定着させ、末長く小麦輸出の得意先にするべく「小麦戦略」が始まったのだ。 まずは学校給食をパンと脱脂粉乳にし、アメリカの農務省が資金を出した「キッチンカー」という栄養指導車が、小麦を使った料理を実演しながら全国を回った。パン屋の育成事業も展開され、西洋から導入された栄養学はコメ食による栄養の偏りを警告し、パン、乳製品、肉のよさをアピールした。 「日に一度 パンをかかさぬ母の愛」と書かれた看板を掲げた宣伝カーまで登場した(この時点ではまだ、一日に一度のパン食が目標だったのだ)。 こうしてコメよりもパン、味噌汁より牛乳が体にいいというイメージが作られていった。
さらに1960年に池田勇人首相の打ち出した「所得倍増計画」により、日本を工業国として立国することが国策となり、国産の小麦(ひいいては国内の農業)は輸入産品によって壊滅的な打撃を受ける。 1965年には、アメリカ小麦の輸入を1億ブッシェル(272万トン)の大台に乗せる目標が定められ、小麦製品であるアメリカンタイプ・サンドイッチ、洋菓子、インスタントラーメン、マカロニ・スパゲティの各普及事業も始まった。 この時点で我々の食生活は、ほぼ今のように変えられてしまったも同然なんじゃないだろうか? そして70年代後半には、パンへの需要も飽和点をむかえたと言われ、冒頭の発言につながるわけだ。3)
ここまで短期間に食生活が変わった例は人類の歴史でも稀だとまで言う研究者がいるほど、我々日本人の食べるものは変わった。では、それによって得をしたのは誰だろうか?
アメリカから小麦を輸入すると言っても、アメリカ政府から日本政府に直接小麦が送られるわけではない。実際に畑で作られた農作物を送り込んでくるのは、商社や多国籍アグリ(農業)ビジネスだ。輸入小麦は、「輸入相手先生産者 ⇒ 穀物輸出業者 ⇒ 日本の輸入商社 ⇒ 日本の総合食料局 ⇒ 製粉メーカー ⇒ 実需者」というルートでやってくる。 アメリカなら「カーギル」を筆頭とする巨大穀物商社が、内外の政策に深く関与しながら貿易を拡大しているし、4) 日本では三井物産、三菱商事、丸紅、全農などの総合商社やアグリビジネスが小麦の輸入も扱ってきた。 今でも我々日本人が食べる小麦は9割が輸入品であり、そのうち5割以上はアメリカからの輸入に頼っている。これらの多国籍アグリビジネスが、日本の食品貿易をどのくらい支配しているか示すデータは存在しないけれども、いかに巨額の利益をあげてきたかは想像に難くない。
戦後間もない頃の日本の栄養学が、何もかも間違っていたのかどうかはわからない。けれども、不足しがちな栄養素があったとしても、何もいきなりパン食に切り替える必要はなかったし、いまだに輸入に頼りながらそれを続けなければならない理由もないはずだ。 今ではむしろアメリカで、和食が健康にいいと宣伝されているんだから。
ヒトは生きている限り、必ずものを食べる。生き物なのだから当然のことなんだが、それを“ビジネス・チャンス”とか“マーケット”などと考える人たちもいる。5) 彼らのせいで我々の「食べる」という当たり前の行為が、ひどく不自然になっているらしい。過食症だってもしかしたら、そんなところに原因があったりするかもしれないのだ。
1) 『日本侵攻 アメリカ小麦戦略』 高嶋光雪著、家の光協会 2) 従来の日本の料理では、獣肉と油脂の使用は極めて少なく、乳製品の使用は皆無だった。 3) それでもパンの生産量はその後、少しずつ伸び続け、ようやくここ数年になってわずかに減り始めている。 4) 世界の穀物の輸出入はカーギルとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の2社による寡占状態にある。カーギル社は1956年に日本に進出している。 5) ちなみに、日本の全産業のなかで、最も多くの広告費を使っているのは食品産業だ。日本は世界でもアメリカに次いで2番目に食品の宣伝・広告費の多い国であり、アメリカと日本だけで世界の食品の宣伝・広告費の半分以上を使っている。
参考: 『アグリビジネス論』 中野一新編 有斐閣 『食と商社』 島田克美他著 日本経済評論社 『穀物メジャー ─食糧戦略の「陰の支配者」』 石川博友著、岩波新書、他
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