『日々の映像』

2008年04月06日(日)  物価上昇が加速する気配

 3月27日「世界の穀物価額の狂乱」と題して書いた。何しろ、1ブッシェルあたり大豆12.6ドル、小麦10.7ドル、トウモロコシ5.3ドル。いずれもここ1年で2倍、小麦は2年で3倍にはね上がっているのである。 これが原因で食料品全体が値上げされている。
 
 日経にびっくりするような報道があった。新日本製鉄は豪英系資源大手BHPビリトンと2008年度の鉄鋼原料用石炭(原料炭)の価格を07年度に比べて約3倍に引き上げることで合意する見通しとなったという。3割アップでなく3倍の価額で資源戦争の敗北者の印象だ。

 このため、国内鉄鋼業界のコスト負担は約1兆5000億円増える。鉄鋼大手は当然のように自動車メーカーなどに供給する鋼材への価格転嫁を進めることになる。世界の資源高が幅広い業種の企業収益を圧迫し最終製品の値上げを促すことが必至の情勢となってきた。「鉄は国家なり」と言う言葉がある。鉄の価額上昇はあらゆる価額を押し上げるのである。

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新日鉄・BHP、原料炭価格3倍に・業界コスト1.5兆円増
             2008年4月5日 日経
 新日本製鉄は豪英系資源大手BHPビリトンと2008年度の鉄鋼原料用石炭(原料炭)の価格を07年度に比べて約3倍に引き上げることで合意する見通しとなった。国内鉄鋼業界のコスト負担は約1兆5000億円増える。鉄鋼大手は自動車メーカーなどに供給する鋼材への価格転嫁を進める考えで、今年度の鋼材価格は過去最高水準に達する公算が大きい。世界の資源高が幅広い業種の企業収益を圧迫し最終製品の値上げを促すことが必至の情勢となってきた。
 新日鉄がBHPから調達する原料炭の価格は現行の1トンあたり98ドルから300ドル前後に上がる。値上げは3年ぶりで、近く正式契約する。両社の合意価格は業界標準となっており、JFEスチールや住友金属工業など他の鉄鋼大手も同額で決着する見通し。英豪系リオ・ティントなど他の資源大手との契約も同水準の上げ幅となりそうだ。(07:00)
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新日鉄、ブラジルの高炉建設を正式発表・鉄鉱石調達を重視
                       2008年3月30日 日経
 新日本製鉄は31日、持ち分法適用会社であるブラジルの鉄鋼大手ウジミナスが同国に新製鉄所を建設すると発表した。ウジミナスが26日(現地時間)に開いた経営審議会(取締役会に相当)で建設方針を決めた。新日鉄が持つ高級鋼生産技術を導入する一方、ウジミナスが買収した現地資源会社から鉄鉱石を直接調達することで原料コストを抑制する。
 新製鉄所はウジミナスがブラジル中部クバトン市に持つ既存製鉄所の隣接地に建設する方向。港湾などインフラ設備を一部共有して建設コストを抑える狙い。当初は粗鋼ベースで年産300万トンを計画、投資額は3000億円前後。将来は高炉1基を追加し生産能力を倍増することも検討する。新日鉄が出資し合弁形式にする案が有力。5月をメドに詳細を詰める。
 ウジミナスは2月に資源会社J・メンデスを買収した。J社はブラジル南東部に持つ鉱山を年産600万トンから同2900万トンに拡張することを検討。新製鉄所には鉄道で鉄鉱石を直送できる。世界的に資源争奪戦が加熱する中、原料の調達ルートまで確保しコスト競争力を高める。(31日 18:54)

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石田ふたみ