『日々の映像』

2008年02月14日(木)  国民健康保険料の滞納・恐ろしいデータ

 2006年度国民健康保険料の滞納が474万世帯に及ぶと言う。

 健康保険証がなければ、体調が悪くとも医者にも行けないのである。全国2,551万の国保世帯に対し、その18.6%に当たる474万世帯が保険料を滞納している。大阪で国保加入世帯の実態を調査したところ、約8割が所得200万円未満にとどまる低所得世帯であることが明らかになっている。

 問題は保険料の金額である。大阪府の場合40歳代の夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯では、年間保険料は、
所得200万円  約39万6千円
(給与の基礎控除を考えると300万~350万円の収入)

 子供を2人抱えて年収300万円~350万円の家族に対して、年間39万6千円の保険料を払えというのが日本の社会なのである。この程度の所得であれば、食費や家賃を払えば手元に何も残らない。高い保険料を払えるわけがない。こんな制度を敷いているこの国は可笑しい。こんな数字を弾き出す大阪府の行政メンバーはどこか狂っている。

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揺らぐ国保、滞納の裏にあるもの
2008/02/12 キャリアブレイン
 
国民健康保険料の滞納が全国的に問題になっている。2006年度時点、全国2,551万の国保世帯に対し、その18.6%に当たる474万世帯が保険料を滞納。なかでも大阪府の状況は深刻で、06年度の保険料の収納率は国内で46番目に位置する。その大阪で国保加入世帯の実態を調査したところ、約8割が所得200万円未満にとどまる低所得世帯であることが明らかになった。厚生労働省が滞納者の“保険証の取り上げ”などで国保収納率の上昇に躍起になる一方、大半の世帯が生活費を切り詰めながら保険料を支払っている現実。滞納により国保が足元から揺らいでいるというが、果たして制度自体を問い直す必要はないのだろうか。大阪のケースを例に現状を見つめた。(金子俊介)

 保険料の収納率とは、各自治体が年度ごとに定めた徴収額に対して実際に年度中に納付された割合を示す。73年度には96.47%と最大になったが、滞納世帯の増加により、その後年々下降。06年度の値は90.39%にとどまる。

 このような事態に対し、国保を所管する厚労省は滞納対策に躍起だ。厚労省は市町村に向けて徴収専門官による教育・指導を実施するほか、収納率に応じて交付金を交付するなど収納率の向上を図っている。
 そして、滞納対策の中核を担うのが、1年以上保険料を滞納している人への「資格証明書」の発行だ。これは事実上“保険証の取り上げ”を意味し、発行されると医療機関での窓口負担が全額自己負担になる。87年から導入され、00年には各自治体に義務化された。
 滞納問題の原因は保険料徴収の方法や加入者の意識にあるという国の考えが表れている。

 その一方、滞納が起こるのは、高い保険料を払いたくても払えないからだとする指摘が数多くある。ところが、はっきりと現状を示す調査はこれまであまりなされてこなかった。
 そこで、大阪社会保障推進協議会は正確な実態を把握するため、府内の市町村に向けて国保加入世帯の所得などについて調査を実施。府内の35自治体から回答を受け、そのうちデータを採っていた自治体を対象に数値を集計した。

 加入世帯の所得を認識していたのは29自治体。その集計によると、国保加入世帯153万739世帯のうち、世帯所得が年間100万円未満と回答した世帯は60.7%、100万円以上150万円未満は14.1%、150万以上200万円未満は8.4%。全体の約8割が200万円未満であることが分かった。
 所得とは収入から必要経費を引いたもので、所得100万円は年金収入で表すと220万円、現役世代だと収入200万円とおおむね置き換えることができる。

 このような現状と実際に徴収される保険料を照らし合わせるとどうか。国保保険料は自治体ごとに異なるため、ここでは大阪市を例に挙げる。同市の試算によれば、同市に住んでいる40歳代の夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯では、年間保険料は、所得100万円で約17万6千円、所得200万円で約39万6千円。また、同市に住む65歳以上の高齢者で年金生活者か独居世帯の場合の徴収金額は、所得100万円で約14万5千円、所得200万円で約26万円にのぼる。
 保険料は近年引き上げが続いている。84年に国保財政への国庫支出が45%から38.5%に削減されたことや、近年行われた税制改正に伴う公的年金などの控除縮小のためだ。

 大阪社保協の事務局長・寺内順子氏は調査結果について「国保はそもそも保険料負担が困難な低所得層が加入している保険であることがさらに明確になった」と指摘する。その上で、「所得200万円未満といえばいわゆるワーキングプア。食費や家賃を払えば手元に何も残らない。高い保険料を払うために、これ以上一体何を削ればいいのか」と意見。「国保保険料の滞納者を責めることなどできない」と怒りをあらわにしている。

 そのような窮状の中でも、自治体による厳しい保険料徴収の手が止むことはない。全国で差し押さえも相次ぐ。たとえ高い保険料を納めたとしても、窓口負担3割が重くのしかかり、結局受診が困難になってしまう。
 また、医療からの“排除宣告”ともいえる資格証明書の発行は特に深刻だ。06年度時点で、発行を受けている人は全国で34万285人。某自治体の国保担当者は発行について「払えるにもかかわらず払わない人のみを対象にしている」と弁明する。だが同時に、「自治体の裁量で実際には大きく異なる」とも吐露。寺内氏も「個々の世帯の事情を考慮しているところがある一方、滞納があれば一律に発行する自治体も多い」と明かす。

 「国保は61年の開始当初から所得の低い人たちを対象にしていた。大企業や大資本家からの資金流用がないため、国の制度運営の下きちんと彼らを支える。そういう精神がそもそも基調にあった」。そう話すのは、中央社会保障推進協議会の事務局次長・相野谷(あいのや)安孝氏。だが、この半世紀の間における産業構造の急激な変化に伴い、加入者の職業構成が激変。加入者の約半数を占めていた農林水産業の従事者が大幅に減少する一方、退職した高齢者や非正規雇用者など低所得者の受け皿になっているのが国保の実態で、「低所得者たちを支えるという当初の精神を維持できなくなっている」のだという。

 相野谷氏は「国は、法律できちんと制度運営を行うよう定められているにもかかわらず、加入者に負担をただ強制するだけ」と国の姿勢を批判。「加入者がきちんと払うことのできる保険料額にしなければならない。そのために、国は早急に国保財政への国庫負担を引き上げることが必要だ」。

 高い保険料負担を求め、各地で人びとの生活を脅かしている国保制度。果たして制度自体に問題はないのか。現状を受けて、厚労省保険局国民健康保険課の担当者に聞いた。
 担当者は、低い所得にもかかわらず高い保険料を負担しなければならない状況について「各自治体で算定方式も異なり負担金額もさまざまなので、一概には言及できない」と明言を避けた。また、保険料を払いたくても払えない人がいるという指摘に関しては「低所得者には減免措置を設けており、生活保護もある。『払いたくない』という人と見分け、きめ細かに対応している」と説明。そうした上で「国保は保険であるため、みんなが出資し合って助け合うということが前提」と話す。
 さらに、国庫負担の引き上げを求める声に対しては「そういう指摘が各方面からあることは承知している。しかし保険である以上、主たる財源は保険料であるべき」と主張。「健康保険などさまざまな医療保険がある中で、税金を用いて国保ばかりに大幅な補てんをすることが納得を得られるのか」と投げかけ、「国庫負担は全体の給付費水準の50%は維持している。いまのところ国庫負担の引き上げは考えていない」と述べた。
 このほか、自治体同士が低所得者の数に応じて保険料額の一定割合を補てんし合う「保険基盤安定制度」などを紹介し、現行の制度運営が適正であることを強調している。

 支え合いの中で誰もが医療を受けるために創設された医療保険制度。その支え合いを国保の加入世帯だけにとどめて高い保険料を強いるのか、それとも国庫負担を引き上げて保険料の引き下げを果たすのかが国保問題の焦点と言える。「私は違う保険に入っているから関係ない」。そんな考え方もあるかもしれない。しかし、命の根源を支える医療が持つ重要性は誰にとっても同じだ。国民一人ひとりが自分の問題として考え、制度の在り方を見つめ直す時期が来ているのではないか。

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水曜懇談会のご案内(2月14日現在)
 
 会報21号で連絡させていただきましたとおり、水曜懇親会1月30日から開いています。2月20日の懇談会は、理事長の坂井輪コミュニテイ協議会出席の用件があり、時間を少し変更させていただきましたので宜しくお願いいたします。

1、趣旨
 月1回は少人数での懇談の機会を作りましょうという趣旨です。1月30日から2月13日まで4回開催しました。1回の参加者は6~8名で十分な懇談の機会を作ることが出来ました。

2、気候条件で中止する場合
 凍結で交通渋滞が予想される日は、中止の連絡を当日の朝連絡いたします。

3、イベントを含む現在の予定
2月20日(水) 水曜懇談会 12:00〜14:30   18〜20:00 
2月27日(水)  第3回 社会の情報交換会  19:00~
  (第1グループ)
3月05日(水) 水曜懇談会 13:30〜   19:00〜 
3月09日〔日〕 第8回 コミュニケーションセミナー 13:30から
3月12日〔水〕 水曜懇談会 13:30〜   19:00〜 
3月19日(水) 水曜懇談会 13:30〜   19:00〜 
3月26日〔水〕 第4回 社会の情報交換会 19:00〜
        昼13:30  夜19:00

* 水曜懇談会     バーミヤン近江店  上近江3丁目19−3

* 社会の情報交換会  ナレッジスクエア 新潟市西区善久760−1   
           (新潟日報正面右隣・看板の表示あり)

* セミナー      北陽ビル5階  堀の内南3-1-21番地 
(結婚式場デュオのとなり)


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石田ふたみ