これは昨日、花とゆめコミックスの棚の前をうろうろして見つけて買ってきた本。遠藤さんの本はほとんど家にあると思っていたが、けっこう抜けているのかもしれない。『ヘヴン』の少し前に描かれたこの短編集はどれもしみじみと心にしみこんでくるような話だった。 絵も話も華やかな装飾や演出とは無縁だけれど、お話とセリフだけで、読者の心にストレートに入ってくる。いや、ストレートとみえてすこし違う方向からきたり、油断しているところにさっくり入ってくるような。頭の使ってない部分と心の使ってない部分に刺激を与えて暖かいもので満たしてくれるようなそんな作品。SFや近未来やファンタジーのかたちをとらずに、日常生活を舞台にしてもこういう作品が描けるんだ。もしかしたらただ者じゃないのね、と今さら思いました。
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