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2004年05月27日(木)
夢路行『あの山越えて』第四巻

第一巻を読んだ頃には、よくありがちな農村回帰願望の都会人の話かと、ひそかに思っていた。二巻ぐらいで、『二十四の瞳』現代版か?と思い、第三巻で農村でのいろいろな人間模様なのかなと思った。そして今回でやっと、舞台は農村だけれど、そこで普通の人が普通に暮らす話だったんだ。と、思うにいたりました。・・・主人公を取り巻く親戚や同僚や生徒や町の人が、わりと皆現代的な考え方をしているので、ちょっとありえない、とも思うんだけれど、それでもしっかり生活していこう、という意思が感じられるので、現実感もあります。私がこの巻で共感したのは、自然が繰り返すように、親から子供へ命と生活を引き継いで、繰り返し繰り返し故郷の四季の中で生活していこう、というお姑さんの言葉でした。それはこれまでにも誰もが口にしてきた言葉なんだけれど、夢路さんみたいに優しい作風なのに実はクールな人が描くと、ちょっと新鮮でした。もうひとつは、酔っ払って親戚の家で管をまく迷惑なおじさん。・・・そういう人って身内に一人や二人はいるものではないでしょうか。そのどうしようもなさと、親戚づきあいのわずらわしさも、きちんと描いてあるので、バランスがとれているような感じです。