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2004年02月02日(月)
よしながふみ『それを言ったらおしまいよ』

いろんな雑誌に載った短編をまとめた単行本。表題作「それを言ったらおしまいよ」と「私の永遠の恋人」は2001年と2002年の作。両方ともボーイズ誌に掲載されたいわば王道の作品。一番調子のいいときの作品ですみずみまで楽しめることまちがいなし。雑誌掲載時に感想を書いたかな。今回読んでもおもしろかった。
その他の作品は初めて読んだ。「おとぎの国」と「ある五月」は1998年の作。商業誌で活躍し始めた頃の作品かな?どちらもボーイズではないし、萌えもないけれど、読ませる作品。実験的と言ってもいいかも。大学教授の再婚の話は救いがないし下手すりゃ嫌味だけれど、こういうのもありかな?と思わせるだけの力がある。「おとぎの国」の背景が上手い。
描き下ろしの「ピアニスト」がすごく面白かった。これは上に書いた2作品と2作品のちょうど中間にあるような内容で、しかも本のタイトルに呼応するかのような話になっているのはよしながさんの洒落っ気か?ボーイズじゃなくても十分やっていけるけれど、でもボーイズ離れて描くから立派ってわけでもないし、要は実力があるかないかってことだということを読者に見せ付けるかのような(笑)立派な作品。これを読むとやっぱり『愛すべき娘達』は掲載誌との距離をまだ定めていないだけ、という気がしてくる。