岡崎さんの作品を読むのは、これが初めてである。 だから彼女がどういう雑誌に描いていて、どういう評価を受けてきた人なのかわからない。 (そんなふうに私の漫画のテリトリーにはぽっかり穴のあいた分野がある。) 1996年に交通事故に遭われる前に、連載されていた作品が 今年4月にやっと単行本になって、いろいろな雑誌で取り上げられているので手にとった。
人気のあるタレントである主人公のりりこの望みや生活や体が解体していく話。 こういう作品を見ると、自分の思っている境界線が どのあたりにあるのかということを考えさせられてしまう。 人間が人間としてぎりぎり自分の足で立っていられるのはどこなのか。 昔の人は戦場や、社会の階層の狭間でそういうものを考えたのかもしれない。 でも一見平和な現代の社会の中でも、そういうことを見ている人がいるのか・・・ りりこが壊れていく過程で、彼女に関わった人間も壊れていく。 しかし、それと対比するかのように、壊れないで立っている人間も描かれている。 だからこの作品には絶望はない。 岡崎さんが、お元気になられて作品の続きを描いてくださることを願う。 それは私たちの想像もつかないような視点を与えてくれるだろう。
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