この作品は二年前の手塚治虫文化賞のまんが大賞を受賞しています。 『20世紀少年』を読んで、それから『Monster』を読みました。 浦沢さんの他の作品は『YAWARA!』も読んでいないのですが、 この2作品からの印象で思ったことを書いてみます。 『Monster』を読んでいろいろな過去の作品を思い出しました。 ブラックジャックとか、逃亡者とか、デッドゾーンとか。 作者は確信犯的にそういう設定を利用しているのかもしれません。 その上で、『20世紀少年』にも共通するこの作者らしいところが 織り込まれているように思います。 どこにでもいる普通のおじさんが、見えない悪に立ち向かう。 現実にありそうもない話ですが、この絵と、しっかりした語りで 読者をその気にさせてしまう。 様々な人びとが主人公と触れ合い、共感し、少しづつ変わっていく。 その過程が読んでいて何よりもおもしろかったように思います。 しかし主人公の立ち向かう「悪」がいったい何であったのか? というのは少しわかりにくいかも。 『うつくしい子ども』でも同じような「悪」が語られていましたが 子どもの中に時代のひずみが現われるという考え方に もう少し説得力があればもっといいんだけど。
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