とてもきれいな装丁のソフトカバーの単行本。 大学を卒業しても定職についていない女の子の話。 家族との距離の取り方。友人とのつきあい。趣味人としての第一歩? エッセイと物語の中間みたいな作品。
吉野さんのデビューから数年の瑞々しい感じが好きだった。 それはもう20年くらい前のこと。 それから何だかどんなお話でも最後は神経症になってしまう時期があって 最近ではそういう可能性が消えたわけではないけれど、 こちら側に踏みとどまることにしたのかなというような ユーモアを感じるようになった。 でも、ラフなイラストみたいなペンタッチにはまだちょっとなじめない。
吉野さんに限らず、見ている期間が長くなってくると、 最初の一目ぼれのような状態を過ぎて、ここは好きだけどここはちょっとね というところが、必ず出てくるということがわかってきた。 好きと嫌いを相殺して残った部分がプラスならば「好き」なのか? それは量というより質の問題なのか? マイナスポイントにも関わらず、やっぱり好きというのが本当か? そこまでくると「愛」の問題になってくるのかしらん、などと考える。
まるっきり創作の物語だと、そういう問題にはあまり悩まなくてもいいんだけれど。 つきあいの長くなった友達を見守るような気持ちで、 つかず離れずフォローしていくんだろう。きっと。
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