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2000年08月29日(火)
『永遠の仔』 by 天童荒太

市立図書館で順番待ち37番、待つこと2ヶ月でやっと読みました。
『永遠の仔』 読んで、あれれれ〜?
これってまるっきり『残酷な神が支配する』じゃないの?
最後の手紙の内容も、まだ見ぬ残神の解決策として、多くの人が
予想しているもののひとつ。

なぜ、こんな物語が今書かれるのか?時代が必要としているのか。
それとも、そういう症例が増えて、研究書がたくさん出ているせいなのか?
著者にそういうものを書かざるをえない動機があるんだろうか。

いずれにせよ、まずテーマが先にあって、すべてがそこに向かっているので
物語に読者が遊ぶ余裕とか、流れに身をまかせる快感は得られないまま、
次つぎと悲劇が起こる。ちょっ不完全燃焼気味の物語のように思いました。

人格障害や、人との関わりをうまく結べないことの原因を
生育歴やトラウマに求めることがあまりに一般的になりすぎて、ちょっと食傷気味。
いや、実際、そういうことはあるし、深刻な問題だけれども、
創作の場にそれを持ち出すのは、物語の自由さを奪っちゃうのじゃないかしら。

そういう物語を読むことによって、救われる人がいるかもしれないから
あまり大きな声でワルクチは言えないけれど、、、