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2001年05月28日(月) ジャーナリストはよく吠える犬かよ

週刊新潮の中吊りを見たら、特集で「テレビの寄生虫」という言葉でくくって、みのもんたから筑紫哲也まで、テレビの人気キャスターをあげつらう企画をやっている。
あげつらうのは、週刊誌の仕事だから別にいいけれども、テレビで仕事をしている人間がテレビの寄生虫なら、出版界で仕事をしていたら、出版の寄生虫だろう。
それなら、寄生虫同士もっと仲良くしたらどうか。
自分のことには口をつぐんで、相手だけを吸血住虫か拝金主義者のごとくに言うのは、彼らが日の当たる世界で大金を稼いでいることに対するひ
がみ、やっかみと取られても仕方がないだろう。
しかも、新潮には、櫻井よし子が連載を持っているが、当然のことながら、彼女の名前は特集には出てくるはずもないのである。
子どもでも指摘できるような矛盾を平気でほっかむりして平然としているセンスは気にかかる。
見出しセンス、という言葉は昔からある。とにかく扇情的で興味をそそればいい、というのはよくわかる理屈だが、このあまりにも見え透いた、ただ自分の品性の低さだけを暴露するようなひねりとも言えないようなひねり方は、どうにかならないものか。
近年、マスコミの言葉というものは、ますます無責任に、軽薄になっているが、天下の文芸出版社、新潮社の出版物なら、もう少し、言葉に重みや思いの深さがあってもいいと思うのである。
ジャーナリストとはただよく吠えるだけの犬なのか。
あれだけの大見出しであるから、もはやこの退廃は、末端のライター、編集者のものではなく、編集長クラスの年齢に及んでいると見られるのである。


村松 恒平 |MAILHomePage