弱Sonファイブ
前に付き合ってた子が 電話してきた。 結婚秒読み段階の 彼氏と別れたそうだ。 なんで別れたのかというと、 他に好きな男がいるから。 暴力がこわくて 別れられなかったそうだが 先日勇気をもって 別れを切り出したらしい。 別れに至った経緯を 一部始終 話してくれたんだけど、 声がやたら暗くて ゴニョゴニョしゃべっているので 話の内容が なんだかよくわからなかった。 ただまあ、 自分の感情を吐き出したいときって 誰にでもあるよね。 だからそのままにしておいた。 ひとしきり話し切ったようなので、 季節がらボーナスの話をした。 加護さんは年俸制なので ボーナスないから うらやましいよね、 今度のボーナスで何買うのー? って聞くと、 貯金 って即答された。 入社当初は 彼女とどちらが早く ボーナスを使い切るか 競争してたのに 年月は人を変えるね。 そんな彼女のために 昔話をしてあげた。 ... 昔々あるところに アリとキリギリスがいました。 アリは来る日も来る日も 働きつづけ 巣に食べ物を蓄えていました。 キリギリスは毎日 歌ばかり歌ってました。 そのうちに冬が訪れました。 さむいさむい冬です。 ところがアリは 巣に食べ物を蓄えてました。 が、 だいぶ前からストックしていたので 少し腐っておりました。 ところでキリギリスの方は 相変わらず歌ばかり歌ってましたが 不況とはいえ、 ここは経済大国日本、 寒さくらいでは死にませんでした。 そんな季節が3度ばかり続いたころ、 アリは食べ物ばかり集める毎日に うんざりして 自分探しの旅に出かけました。 何の目的もなく歩く道、 青くさえわたる空、 白い雲にそよぐ風、 その風によって奏でられた 小さなメロディ。 そのときアリは知ったのです。 歌を歌うすばらしさを。 ... 今カメラ付き携帯の 部品を作るメーカーで いい会社見つけたんだ、 とりあえず貯金したつもりで おいら投資してみなよ、 中間マージンを 差し引いたとしても 君に 歌を歌うことのすばらしさを 十分に教えてあげ... ガチャ。 プー、プー、プー。 ... さて明日は、 太陽と北風のお話でも しようかな。 |