MUSIC春秋
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 2010年06月15日(火)


平らな道に雨。

出勤前、まるで訪ねて来たかのように
玄関先のまん前の
陽が照りつけるコンクリートの上に
行き倒れのアゲハ蝶。
「どうしたの!?」と駆け寄って
人差し指を近付けたら乗ってきた。
「ペリカンか?ペリカンに踏まれたんか?」※直前に宅配便が来ていた
と、よく見たけれど特にどこか傷ついている様子はなく
ただ弱っていて飛べないようだった。
どうしてやることもできないので
せめて強い日差しの当たらない、
少しでも安全そうなところへ、と
庭の茂みの葉っぱの上へ
降ろしてやろうとしたけれど
指にきゅうっとつかまって降りてくれない。
困ったな。

「死ぬのは怖い。」と友達が言ったのは
二日前のこと。
生きたくても生きられない人がいて
死にたくても死ねない人もいる
そんな話をしたことを
思い出していたのはほんの15分前のこと。

たかが虫 なのかもしれないけど
1ミリもないような細い足先が、私の指の上で
ここに確かにひとつの命があることを伝えて来る。

そうして指の上に居たいと言うなら
気が済むまで乗せていてあげたいけど
出勤しないわけには行かないので
やっぱり葉っぱの上にそっと降ろした。

昼休みに届いた
母親からのメール。

「庭にいた蝶は天国に行ったよ」



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