「にこにこばかりもしてられない。」
DiaryINDEXpastwill


2010年01月17日(日) 宿題

2009年6月19日(金) 毎日新聞夕刊の切り抜き。
「新幸福論」生き方再発見(インタビュー記事) 編集者 小宮山量平さん

赤線が引いてある。引いたのは母だ。

---
(編)現代も難しい時代です
(小)労働体系の崩壊ですね。働くということがどういう意味を持つのか、あらゆる職場で労働者が派遣だニートだと、いつでも首にされ、放り出される。就職したからにはそこで一生懸命に根を育てて人間として職場と一緒に成長しようという健全な体制から放り出されてしまう人たちがいる。
年間に3万にもの自殺者を出し、それと並行して、男、女、共通して結婚に逃げ腰となる。本来ならば子どもという形で次の時代を作りだす希望の芽を自分でへし折ってしまっている。
こういう風な状態で、希望とか幸福とかを考えるのは非常に困難だと思います。

---
(小)93歳になってみますとね、ありがたいことにだんだん世の中の端末のごたごたは見えなくなるけど、動脈のような太い管が健康な状態かどうかは心に響く形で見えてきて、それが健康なら世の中捨てたもんじゃない、いつかはちゃんと良くなるという気がする。

---
(小)むちゃくちゃな労働体系をはね返す思想として今なにが大切か。僕は雇用や社会保障の立派な制度を作り直してくれということではないかと思う。逆に我々の中の出世する思想を根こそぎ取り去る。別の言葉ではニヒリズム。人間が素っ裸になる思想の一番太い動脈はなにかというと、幸徳秋水もそうですが、出発点はアナーキズムだった。今こそ「出世」というものを考えない本当の意味の無政府主義の思想の根源的な姿を見つめる必要があるのではないかと思うんです。

---
(小)絶望はまだ早すぎる。幸福論にしても時間をかけるということです。せっかちにならない。


---

母の手紙はびんせんに3枚。いきなり言いたいことから始まる。

---
 ここまでアナーキーにならなくも良いけれど、竹中元長官の言っていることは、借金など重いものは極力整理して
(追いつめられない先に)身軽になって、
自分と家族が食べるだけをゆとりを持って働きなさい、ということではないのかな。
 貧乏はちっとも怖くないよ。
わたしは芋と切干大根にウマイ菜ばかりで月一度目刺しを食べたくらいだった。 
けれど十七歳で一六三、体重は50kgを超えた。食べ物ではない。 
といって精子が渡したDNAがすべてとも思えない。 不思議すぎる。素晴らしすぎる。
子どもたちがあんたに宿った時のことを思ってみてもそれは言えるよね。
わたしはどうやら宇宙の生命の循環はこんな風になっているんじゃないかと思うしかないよ。
それに乗ってゆけば良いんだよきっと

あたふた働いて僅かばかりの贅沢をして
腐敗臭漂う国に税金を納めるなんてバカバカしいよ
自分たちのためだけに楽しく働こう。
今日点滴を打ちながらテレビを見ていたら仲代達哉が色紙に
「人に優しく 自分に優しく ニヤニヤ笑って生きてゆきたい」と書いてニヤニヤ笑っていた。
がんばらなくていいんだよ。つつましく暮らしたら充分だ。

 私はそれでも両親に守られ甘やかされて人生前半はバカなお嬢様だった。
後悔しても七十年取り返しがつかない。お嬢様に人間としての完成なんかないように思う。
私は後半の人生にかけたけれど、今もややバカだ。

あんたは違うようだけれど、それはまたそれで落とし穴もあることだろう。
人に優しく自分にも優しく ニヤニヤ笑って生きてゆくのがいいかもね
クソマジメはいいことない 喘息になるよ

物や金に振り回される時代が終わりに近付いているのは先進国の一部で、
中近東なんかはこれからまだ荒れるかも 
私は三菱兵器で学徒工やっててロクに勉強してないから大変だ。
あんたは私よりもっとよく理解できるでしょう
目配りして、かしこく進んでください。

   取り越し苦労のお母ちゃんより

---

去年の七月に届いた手紙。
これが宿題。


DiaryINDEXpastwill
きゃおる |MAILHomePage「いつもにこにこ・みけんにしわなし」

My追加