「にこにこばかりもしてられない。」
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まだ赤ちゃんのとき。歯がやっと生えた頃。
私が白いふわふわの米せんべいを一枚もらったときのこと。
大好きなおせんべい。 嬉しくて、嬉しくて、笑いながらあーんと食べようとしたそのときに、 父が「いいなぁ、おいしそうだなぁ、一口でいいからほしいなぁ。」 と言ったのだそうだ。
かぶりつこうと大きな口をあけたまま、そのままストップした赤ちゃんの私は、 しばらく考えて、顔をくちゃくちゃにしてにこにこしながら、 父親に向かって米せんべいを差し出して、 「あ〜ん。」と食べさせてあげたのだそうな。
ところが、父、一口で、バリッと半分食べてしまった。
お月様みたいだったおせんべいが、 すいかみたいになってる。
そんなはずでは。 じーと、見つめて眉間に立てじわ。
そのうち、ま、いいかいいか、と気をとりなおして、 またもう一度あーんとしあわせそうにかぶりつこうとしたときに また父が「おいしそうだなぁ、もう一口食べたいなぁ。」
「あー・・・あ?」と、また、じっと考えてから、 さっきと同じようにまたにこにこと父親に 「あ〜ん。」と米せんべいを差し出したそうな。
一口で父親は大きな口をあけて私の小さな指までしゃぶり 私の手に残ったのは、つまんでいた指の間に残っていたひとかけらだけだったそうな
じーと指を見る。 じーと父を見る。 じーと、も一度指を見る。
自分は一口も食べてないのに、 あったあはずの幸せなおせんべいがない。
しばらーく眉間にしわを寄せていたが、 とうとう、「うあ〜〜〜〜〜〜ん!」と泣き出したそうな。
思い出した。 生まれつきこんなんだったわ。私。
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