| 誉めて叱って |
「七つ誉めて三つ叱る」とは、子育て中よく聞いた言葉だけれど もちろんそんなにたくさん誉めることは、なかなか出来ない。 おそらく「九つ叱って一つ誉める」くらいが関の山だろう。 若い頃はいろんな我慢も出来ないし、余裕もないし、 自分の感情が抑えられないまま酷く子供を追いつめる叱り方もした。 もしかするとキツい親に分類されたかもしれない。 それにしても、と、未だに思う。 教育者であったり、子育ての本を書いていたりする人たちは 自分の子供とどうつき合ってきたのだろうか、と。 本当に、七つ誉めていたのか。 生活の中で、子供の面倒を見、仕事をし、家事をこなし、 なおかつ七つ誉めて三つ叱ることが、その人達には出来たのだろうか。
誰も叱る機会を今か今かと伺っているわけではない。 誉めるようなことをしてくれたら、素直に誉めたい。 でも、つい叱ってしまう。 いいことか悪いことかは置くとして、 ごく当たり前のことだと思う。 「七つ誉める」は、理想論なのではないか。
例えば公害を出さない企業。 例えば交通渋滞のない道路。 例えば税金を滞納しない国民。 例えば私腹を肥やさない政治家。
そういうものと同じくらい、「理想論」だろう。 だから、世の中の孤独な母親達よ。 「叱ってばかり居て」と姑から白い目で見られる若い嫁達よ。 自分にプレッシャーをかけない方がいい。 叱るあなたを非難の眼差しで見ているその人だって 自分の子供達をさんざん叱って来たに違いないのだから。
急にこんな真面目な話をするのは何故か。 今日、お世辞を言われたからだ。 お世辞だと、ハッキリ解っている。頼み事があるからだ、と。 それでも、誉められたのが嬉しかった。 そして、ふと思ったのだ。 私は自分の子供達を、どれだけ誉めて育ててきただろうか。 どれだけ叱ってきただろうか。
今から子供を育て直すわけには行かない。 今更誉めたところで、本気にもしないだろう(苦笑) 誉めるチャンスは以外と少ないのかもしれない。 誉めたい年頃は、イコール叱りやすい年頃なのだ。 もう少し早くこのことに気づいていれば 子育てをしている内にこのことに気がついていたなら 或いはもう少しだけ、誉めることが上手になっていたかもしれないのに。
日本人って、ストレートに誉めることが下手なんだよね。 だからこそ、たまに面と向かって言われると忘れられない。 すごく、嬉しかった。
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2001年11月29日(木)
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