◆KALEIDOSCOPE◆ |
◆Written by Sumiha◆ | |
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なんだか気合が空回り | 2004年12月17日(金) |
◇飽和(雑談です) 世の中、腹立つことって多々ありますよね……うふふあはは。(大丈夫か)(まだ大丈夫。えへへいひひとか言い出さない限りは) 過去の自分をパイプ椅子で殴打して北極海に簀巻きにして沈めたい気分です。 ◆わからないならそのままで 辿り着かない方がいい場所もある ここが聖域とは限らない (※アニメ版魔剣士×姫が土台です、苦手な方は要注意。かといって推進しているのではありません。魔剣士姫がお好きな方は避けてください。マジで。苦情は受け付けません) (魔剣士リナでもないので、そちらがお好きな方も避けてください……(汗)。姫リナでもありません。甘くもないですし、毒しか無いような話です。大丈夫な方のみ先へお進み下さい)(どうしてこう門戸が狭い話しか思いつけないのか) 困っていた顔が浮かんだ。 間違っても愛想笑いが上手だったり口達者だったりお世辞が上手いとは言えない彼だ。相当悩み言葉を選んだのだろう。詰まりながら応じた彼の様子をありありと想像できる。 自然と苦笑した。 「まあ、他人の恋路だし? ヘタに口を出して馬に蹴られたくないから今まで言うのは控えてたんだけど」 少女が怪訝そうに、あるいは不安そうにこちらを窺う。 心配の半分は杞憂だ。信じないかもしれないが。無理もない。生きてきた道はあまりに違いすぎる。いま置かれている境遇も。環境が違えば周囲の人間の質も違う。更に言えば他人同士だ。完全に理解し合えるわけがない。それもまた彼女にとっては受け入れがたい事実かもしれない。 「身分違いだの駆け落ちだの、夢を描いているならやめなさい」 二人しかいない相部屋。男性陣は隣室にいるはずだ。フィリアも交えてカードゲームに興じていた。誘われたのを断り、話があると二人で女部屋に閉じこもった。 「ありきたりなセリフで悪いけど、世界が違うわ」 カップを置きまっすぐアメリアを見つめる。 夕食前だ。少々浮かれた――いま思えば無理していたところもあったに違いない――調子で、プロポーズまがいのこと言っちゃいましたと云われた。 「結局はオーケーしてくれなかったんですけどね。護符(アミュレット)はお守り代わりに受け取ってくれたから、いまはそれで充分です」 慰めてもらいたかったのか、笑い飛ばされて元気をもらいたかったのか。 ――――悪いけど、あたしにはどちらもできないわ。 彼がかつて身を置いていた、決して居心地が良いとは言えない暗い感情の一端を知っている。あと一歩足を踏み外せば狂気渦巻く血生臭い戦場だった。苦しみ、憎しみ、怒り、悲しみ。支配されたら自身の身の破滅まで一直線に通じる道に行きかけた彼を知っている。少なくともアメリアよりは理解できる。 彼女が頑なに信じる清く正しい正義とは正反対の道だ。交差はしない。共には歩めない。永遠に。互いが互いを理解できる日も来ない。理解できたと思っても、理解できたつもりになっているだけだ。 「なんで……リナさんは、」 「あー違うから。恋愛感情なんてカケラも持ってないから。誤解しないで」 ここに某黒髪おかっぱ魔族がいたら嬉々としてアメリアの感情を貪っていただろう。戸惑いが強く出ていたものの、微かに嫉妬や怒りも表情に出ていた。 きっぱり否定して、フィリアに借りた茶器を使いおかわりを注ぐ。 「ただ、ね。ゼルの気持ちがほんの少しわかるから。あんたが本当に心から好きなら何も言わないわ。でも、」 飲むにはちょうど良い熱さだ。カップを傾け唇を湿らせる。 「恋愛感情を追い求めて浮ついているだけなら、相手が悪いわ。早いとこ別の人間を探すべきよ」 恋の相手としてあれほど不適合な人間もいない。暗い過去を持ち、お尋ね者。たまに自分で自分の精神をどん底に突き落とし、這い上がってこない。自虐的で悩んでいても、ひとに頼らず話さない。自己完結させる。基本的に自分しか信じていない。信頼、信用、好意などを嫌う傾向にある。無口で無表情、ついでに無感情の無い無い尽くし。付き合いにくい人種だ。 過去はさて置いてこのごろはそれでも改善されてきたようだが、人間そう簡単に変われない。人間への不信感は根強く残っているはずだ。きっと彼自身が思っているより強く、ずっと深い場所で。 アメリアがその彼にどう映ったか。危なっかしくややずれているお姫様。正義を声高に掲げひたすら前進する。最初は光だと思っただろう。救いを見たかもしれない。だが……。根本的なズレは見逃せない。考えかたも価値観も違う。仲間や友人として行動するには譲歩できても、男と女として付き合うにはどうか。現実は夢や理想通りに行かない。生身の人間が相手だ。上手くいかない、理解できない、そりが合わない問題は山ほどある。 ズレを自覚しているゼルならまだしも、アメリアはどうか。このまま黙って見ていれば近い内に仲間としてさえ付き合えなくなる。 歓声にも似た笑い声が隣から漏れ聞こえてくる。防音完備とは言えない宿だ、聞くに堪えない大騒ぎでもない。注意するほどではない。 向こうにはこちらの雰囲気など知りようがない。むしろ話が聞こえているほうが問題だ。騒いでいてくれると気にせずこちらもこちらで話せる。それはそれとして面白くないのも確か。(珍しく)まじめに話しているのに騒ぐとは何事か。邪魔だという気持ち半分、見当違いの八つ当たりが半分。 雑音を努めて追い出す。カップを両の手のひらで包む。あたたかい。熱がじんじんと指先を伝い全身に広がる。 「火の粉が降りかかったって理由でもなく、恨みも無い。罪も無い人間を殺せる人間の心理を理解できないでしょ。必ずしもこっちに来る必要は無いけど、正義なんて言葉でごまかして奥にある事実も感情も見る気が無いなら、ここで終わりにしときなさい。傷ついて、傷つけて。お互い痛いだけの未来にしたくないならね。まだ良い思い出、若気の至りで済ませられる範囲よ」 香茶を飲み干しソーサーに置く。 アメリアは俯いていた。顔は見えない。 感情の整理はすぐにつかない問題だ。言うべき言葉は言った。どんな答を出すかは彼女次第。ここから先はあたしの出る幕ではない。無責任と責められても仕方ないが、あたしはアメリアではない。彼女の気持ちが彼女にしかわからない以上、他に何も言えない。正解は彼女が導き出すしかないのだ。あたしにとっての正解が彼女にとっての正解になると断言は出来ない。 笑い声がわっと再び隣室から聞こえてくる。 「――話はそれだけよ」 使った自分の分の茶器を片付ける。アメリアはカップに一度も口をつけなかった。香茶は冷めてしまっているだろう。淹れ直そうかと思い、それこそ余計なお世話だと思い直した。アメリアもこんな話のあとで世話を焼かれたくないだろう。 なるべく音を立てずに立ち上がる。ほぼ同時に三度歓声が響いた。 「ちょっとうるさいわね。注意してくるわ」 我ながら言い訳がましい。胸の裡で苦く笑った。 部屋を出かけてふと足をとめる。 「あんたたちの仲を壊したいわけじゃないわよ。まとまるならそれはそれで構わないの。だけど理想と現実のギャップを埋められないんじゃ、まとまる前に壊れたほうがいいとも思うわ」 彼女には恐らくこの考えも理解できないに違いないが。理解されたいがための言ではない。ねたんでいる、人の幸せを許せない、などと誤解されたくないのだ。 あくまであたしの問題ではなく彼らの問題だ。本来なら口出しも不要と見て見ぬ振りをするところだ。 二人にしてみれば迷惑な話には違いない。大きなお世話だと拒絶されても文句を言えない。それでも。あまりにも明確に見える二人の行く末を現実にしたくない。単純なわがままだった。 部屋から出てドアを閉める。今夜は部屋に戻らない方がいい。フィリアにもそれとなく言うか――もしかしたら何か勘付き先に言ってくるかもしれない。竜の聴覚は人間と違う。 コンコンと隣室のドアをノックする。ドアは簡単に開いた。鍵をかけていなかったらしい。ひょこっと顔を突っ込む。 「あんたたちね、こっちまで声筒抜けよ。もうちょっと静かにやんなさいよ」 「リナに静かにしろって言われてもなあ」 「説得力が無いな」 「ですよね〜」 口々に言って笑う。心なしか顔が赤い。周囲には酒瓶らしき物体が乱立している。 酔っ払いめ。 何か言うまでも無くみんなして朝まで騒ぐかこの部屋でつぶれていそうだ。となると残るはあたしの寝床の問題だ。酔っ払いには混ざりたくない。宿に泊まっているのに野宿は馬鹿らしい。新たに部屋を借りようか。客も少ない安宿、まだ深夜ではない時間帯。一階に下りれば宿の主人がいる。 「なんでもいいけどハメ外しすぎないでよ」 応えは聞かずドアを閉めた。なにやら抑えた笑い声が聞こえてきたが黙殺した。 あしたには答が出ているだろうか。たとえどんな答でも、もう二度と二人の問題にお節介は焼くまい。今回は仲間のよしみだ。二人で解決できないならそれまでの絆だったのだ。それ以上は野暮というもの。あたしには関係無い。仲間でも。仲間だからこそ。 ちら、とドアを見る。 あんたにとっての最善の道が見つかるといいわね。 それはまだ年齢に似合わぬ選択かもしれなくても。必要な選択だ。王女という身分の枷にとっても、二人の間に横たわる溝にとっても。 欠伸を一つかみ殺す。 さてじゃあ、ひとまずホットミルクでも飲んで体をあっためるとしましょうか。 決めるとあたしはとん、とん、とんと一段ずつ階段を下りていった。 ――終。 稿了 平成十六年十二月十七日金曜日 長いタイトルですね。「わからない〜限らない」までがタイトル。性懲りも無くお題に手を出しました。ううう。終わらせられるのか!?(号泣) このお題でアニメ版魔剣士姫以外は思いつきませんでした。んがしかし魔剣士リナでもないという。書いている私しか面白くない話。(苦笑)別館にはこんな感じの話も置きます。請求制にはせず一応誰でも行ける形ですが、行こうかなと思われていた方は覚悟しておいて下さい。いろんな意味で。 魔剣士に対しても姫に対しても扱き下ろしすぎですか。(^^;) ファンの方ごめんなさい。一回こっぴどくリナにズバズバ言ってもらいたかったのです。(でもこのリナはアニメのリナじゃなく原作っぽいですね。シビアですし他人との一線をきっちり引いて馴れ合いをしない、妥協もしない、冷めてる)(最後の冷めてるってのは原作のリナにも当てはまらないですが。二次創作だし!)(逃げとる逃げとる) 残りのお題で誰を動揺させようかなあ。(サドめ)(てか趣旨がそれなのか)アルファベットお題のGがネタ思いつかないのでこちらを先に攻略。つかそれならスレイ20お題を先にやれという話。そっちはそっちで長くなりそうなんだよう。(>_<) 水影楓花 君に贈る7つの動揺 4 甘い憧憬を棄てられますか BGM無し。 | ||
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