一皮剥ければ・・・という期待を込めて - 2005年08月09日(火) 夕方からの予定を急遽変更してもらい、前から様子が気になっていたお店へ向かうことにした。お盆の時期だし、念の為に客を装って営業しているかどうかの確認を入れて訪問することにした。店主が電話に出たが元気の良い声でまずはひと安心。ここで暗そうな声を出されたら行くのを止めようとも思ったが、とある駅から歩いて約10分のお店へと着いた。 店主は直ぐに私と気付き、席に着くなりいろいろと話し始めたが、いろいろと試行錯誤を重ねながらも努力している様子が伝わってきた。前回は昨年の10月に来たから既に10ヶ月が経っていることになるが、どの程度成長しているか?姿勢面や考え方がどう変化してきているか楽しみでもあった。まずはビールと板わさをオーダーしたところ、お薦めの枝豆があるとのことで茹でたてを出してくれるというのでそれも一緒に頼んだ。 ここは食材的にはかなり吟味したものを中心に使っているが、今ひとつ拘りが強過ぎるのかどうか伸び悩んでいる店であった。私が行った際には先客はいなかったが、暫くしてからパラパラと入って来ているようではあるが、絶対数的にはかなり不足しているのではなかろうか。ただ、こういう形態のお店はあまり混み過ぎても雰囲気が壊れてしまいマイナス効果に成ってしまうが、程好い感じで数組が楽しめる感じがベストなのである。 続いて日本酒と新メニューのかき揚げも一緒にオーダーした。メニューを見るとオープニング当初から比べたら倍以上に増えているかもしれない。店主とも話したが減らせそうなものは減らした方がかえって良いのではなかろうかと思う。確かに選択肢としては増えたけど、似たような物やこれは別になくてもいいんじゃないの?というようなメニューは省いても問題はないと思うし、焦点が定まらなくなってしまうような気もする。本当に美味いものを限定して置いてある方がこういう形態のお店では良いのではなかろうか? その後、店主といろいろと話した中で感じたことは実績としてはまだまだであるが、確実に進歩している部分はあるということを感じた。技術を追求するあまりに本来しっかりと見据えなければならないことを見落としてしまっていることに気付きもしなかったのが、少しづつ余裕が出て来て視野も広くなって来ている。まあ、確かに変に拘り過ぎる感じは否めないが、それも彼自身の選んだ道である。それに向かっていこうとする中で一点だけを見るのではなく、きちんと周りの状況も見ながらやって欲しいというアドバイスはしたが、それも生かすも殺すも本人の自覚次第ということである。 でも、以前に比べたら頑固な部分は変わらないが、少しでもその裏づけ的な自信というのか、信念というものが見えつつあることが分かったので少しだけではあるが安心することが出来た。正直、どうなっているんだろうかと心配で堪らなかったが、本人がどうしたいのか?聞く耳を持っているのか?という点に於いて一抹の不安を持っていたので足が遠退いていたが、もうひと踏ん張りして一皮抜けてくれれば面白い存在の店になるのではなかろうかと思っている。しかし、そうなる為にはまだまだ多くの課題が残されているし、蕎麦にしても追求するのはいいけど、基本的なことがしっかりと出来なければその先はないということも自覚して欲しいし、職人として沢山のことを勉強しながらも経営者としてもしっかり責務を果たさなければならないということを忘れないで欲しい。 敢えて厳しい言い方をすれば、技術の追求だけでは経営は上手くいかないということである。それが本当の意味で分かったときには素晴らしいお店になっているかもしれないね。周りから見たら変わり者・・・としか思われないかもしれないが、一つの壁を乗り越えたときにはそれが違った見方をされるのではなかろうか?そうなることを期待して次なる訪問の時を迎えたいと思う。 -
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