ときどき、晴れ...

 

 

虹。 - 2007年06月25日(月)

「物語」が、はっきり判るから、少女漫画みたいに情景が浮かんでくる。
勝手に、絵や雰囲気が佐原ミズさんになってるんですけどー(笑)

結婚式っていうよりは、婚姻届を出してきたあと、みたいな雰囲気。

****

ほんのり雨が囁く中、ふたりで一緒に並んで歩いた。

せっかく、届出もして、ようやく二人の恋が芽吹いたのに。
言ってくれない「好き」って一言。

「好きだよ」って、それだけでいいのにさっ。

こういうときくらい言ってくれてもいいじゃん?

「言ってよ」って言ってたら、あからさまにムッとした顔して、拗ねたみたいに部屋に引っ込んだ。

なーにーよー!!

君が拗ねたらいつもやること。
口で勝てないからって、子供みたいにいつも。
私の大事にしているものを隠す。

あのバックだって、靴だって、ずっと大切にしてたピアスだって、その被害者。
バレバレなんだよ、もう。
隠すところもいつもおんなじ。

庭の隅っこ、物置の陰。

たまには、先手を打ってみようか。
今日は、大事な日だもの。
特別な日だもん。

君が一番大事にしてるものを隠してやろう。

*

物置の隅、うずくまって空を眺める。
ぴっかぴかの晴天。
白い雲がわたあめみたいに広がっていく。
口ずさむのは、君が一番好きな歌。
静かに、そっと、囁くように。

不意に、長い影が私を覆う。
顔をあげると驚いた顔して、君が立ってた。

目を合わせて、不敵に笑ってやると、君は手をさっと背中に回して、唇を尖らせた。

私の、何を持ってきたのかな?

立ち上がって、隣に並ぶ。

「ごめんね?」

言って、顔を見上げたら、まだあさっての方を向いて口を尖らせてた。

*

ザアッと雨が降る。

空は晴れているのに、嘘みたい。

傘を差して並んで歩く。
人ごみの中、よたつてたら、わざわざ振り返って、ニヤリと笑う。

・・・・・・むかつくんですけど。

さっきの君の真似して、口を尖らせる。
それに気付いて君は、私が「ごめんね」を待つより先に、くちづけた。

先を歩く君の背中見てたら、泣きたくなるくらい幸せだと思った。
どうしよう。
こういう時間が、空間が、空気が、君が。
とてもとても。

いとおしい。

そっと駆け寄って、君の腕をつかむ。

君の体温。
君の視線。
君の鼓動。

「これからは、さ。ちょっとくらいわがまま言ってもいいからね。そのかわり、私にだけ言ってね」

そう言って、力をこめる。

君の周りの空気が揺れた。
くすくすと肩が震えてる。

なによ、とまた口を尖らせてみたら、ポンと頭を叩かれた。

*

「・・・あ」

雨が止んで、街の向こう、ビルとビルを結ぶように虹が架かっていた。

「ね、見て。虹が綺麗だよ」

指差して、君を見る。
そのまま君は、私の視線を受け止めて。

「うん。でも、お前のほうが」

思わず目を丸くして、続きを待った。
そしたら、そのまま耳まで赤くなっていく。

かかかか・・・って、沸騰するんじゃないかってくらいにまで赤くなってんですけど!!
どーしてよ!
さっきは、キスしてきたのに!

思わず顔がほころんで、ぎゅっと君に抱きついた。

「ありがと」

そっと口付けるように伝えると、耳に直截、囁くような声が入ってきた。

抱きしめる手に、いっそう力を込める。

ああ、どうしよう。やっぱり大好きよ。愛してる。

「ありがとう」

****

御粗末さまでしたん。

ってか、久々にこういうの書いたなー(笑)


...



 

 

 

 

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