Web Masterの日記



アメリカとウクライナ

2025年03月05日(水)

先日、ホワイトハウスの大統領執務室で行われたアメリカとウクライナの交渉が決裂。
トランプ大統領は「ロシア寄りの調停」をしているとアメリカを批判した
ゼレンスキー大統領に対し「無礼だ」「もっと感謝すべきだ」
「今、あなたにはカードがない」「第三次世界大戦を引き起こしかねない
賭けをしている」と厳しい言葉を投げかけた。

今回の会談の目的は、ウクライナに眠るレアアースのアメリカとの共同開発。
共同開発をすれば、それはアメリカの利権であり、アメリカ人も働くので
アメリカはウクライナへの軍事支援をするというもの。
結果、アメリカがバックにいるのでロシアは安易に侵攻できないと
トランプ大統領らしいディールだ。
これにゼレンスキー大統領は安全保障と引き換えで共同開発に同意した。
ところが実際に会って話してみると、トランプの関心はレアアースだけの様子。
停戦に関しては完全にロシア寄り。
ゼレンスキーが「ロシアの非道」を話すとトランプ氏は不快な顔をした。
そして、2014年のロシアによるクリミア侵攻の時、アメリカが黙認したことを
話すと「アメリカを侮辱するのか」と言い出した。
ウクライナに寄り添っていないアメリカの姿勢にゼレンスキーの不信感が募り、
バンス副大統領も入って言い合いとなり結果、交渉は決裂。
結果、アメリカはウクライナへの支援を停止した。

国のトップ同士の会談なので、もう少し冷静な議論があっても良かったと思うが、
交渉決裂の根底にあるのは「終戦の条件」が十分に示されていなかったことだろう。
ゼレンスキーは「アメリカはロシア寄り」「ロシアのクリミア侵攻も容認した」
「ということは今回も?現在の奪われた領土のまま終戦しようとしている」と考えた。
ゼレンスキーはこれを到底容認できない。
一方、トランプにしてみれば「せっかく調停してやっているのに
何という態度だ」ということだろうか。

「力に拠る現状変更は許されない」
これが、これまでの世界の一般的なルールだった。
ところが今回のアメリカの大統領は違っていた。
一応、トランプの主張を良いように解釈すると、
・このまま戦争を続けていてもウクライナは消耗するだけで利益はない。
・それよりは戦争をやめて経済に特化したした方がウクライナの利益になる。
・アメリカもこれ以上、ウクライナのために支援できない。
アメリカにとって何の得にもならない。
・このまま続けば欧州を巻き込み、中国も関わって第三次世界大戦になる。

トランプは理念や理想などが関係ない現実主義者であり実利主義者だ。
元々がビジネスマンなので、これが今までの世界のリーダーとは違うところだろう。
一方、ゼレンスキー大統領にしてみれば、
・ここで奪われた国土を取り戻せなければ、今までの戦いが無になる。
多くの戦死者たちが浮かばれない。
・何よりも「力に拠る現状変更は許されない」という世界の共通認識が失われる。

まぁ、トランプの主張も理解できないわけではない。
ウクライナ国民だけでなく、誰もが戦争終結を望んでいる。
領土より命、戦争より平和な暮らしが一番だ。
「損して得を取れ」ではないが、戦争より何かを生み出す経済に
特化した方がいい気もする。
あるいは第三次世界大戦への懸念。
現に欧州各国はゼレンスキー支持を表明し、欧州軍という話も出てきている。

また一方、これで決着がついてしまったら…力に拠る現状変更は許され、
世界は「奪った者勝ち」の無秩序状態になる恐れがある。
すると中国は台湾を、イスラエルはガザを、北朝鮮は核を見せつけ
ロシアの支援を受けて韓国を?
日本だって北海道をロシアに、沖縄を中国に奪われる可能性だってある。
日本の周囲には厄介な国ばかりだから。

さて、世界はいよいよ混沌としてきた。
どちらに行っても最終的な帰結は「核によるリセット」なのかね?
アインシュタインが語ったように「第四次世界大戦は石の投げ合い」になる?
人間の意識はこの5000年間、何も変わっていない。
同じような理由で争い、人を殺し、戦争を繰り返す。
行き違いや感情で争い憎み合う。
意識は全然変わっていないのに科学技術だけは進化、発達して
地球上の生物全体を消滅させる力を持ってしまった…。

多くの人々は無意識下で深い諦めと静かな絶望を抱いている。

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