Web Masterの日記



BLACK FRIDAY

2024年11月29日(金)

最近、テレビのCMを見ても、新聞のチラシを見ても、スーパーや
ショッピングモールに行っても、どこもかしこもBLACK FRIDAYばかり。
いったい、いつから日本にブラックフライデーが浸透したのだろう?

元々、ブラックフライデーの発祥は当然のようにアメリカだ。
ハロウィンとクリスマスの間、11月にアメリカでは別の主要な休日がある。
それは11月最後の木曜日に行われる感謝祭。
アメリカ人はこの日、家族に感謝の意を表し、実家に帰って
ごちそうでいっぱいの一日を過ごし、NFLを見て家族と時間を共にする。
日本でいう正月やお盆のような感覚かも。
感謝祭は木曜日なので必然的に次の日は金曜日となり、
感謝祭翌日の金曜日が「ブラックフライデー」として知られている。
このブラックフライデーは近年、世界的な広がりを見せ、
アメリカだけでなく、ほとんどのヨーロッパ諸国でも採用されている。
ブラックフライデーは小売業者、大型店舗にとって、
顧客に素晴らしいお得なセールを提供することで、
年に一番の売上高を記録する店側にとっても重要な日となっている。
ほとんどの人が、最初のクリスマスプレゼントを購入しはじめる時期でもある。

年に1番の「黒字」になるのでブラックフライデーと言われているが、
最初のブラックフライデーの由来は少し違っている。
ブラックフライデーの歴史はなんと19世紀後半まで遡る。
当時のアメリカは金融危機に瀕しており、今のような週末限定のセールのような
概念などは全くない暗黒の時代だった。
そんな不況に見舞われる中、ブラックフライデーという用語が最初に使用されたのは
1869年の金融危機を説明するためのものだった。
この金融危機には、ウォール街の金融業者が一攫千金を狙い、
価格を上げるために金を大量に買い、それを売って
利益を得ようとしたことが背景にある。
おかげで金市場は暴落し、最終的に株式市場はウォール街の人々から農民まで
誰もが倒産する自由落下に送られてしまった。

ブラックフライデーが現在のようなセールの概念として
初めて使われだしたのは1961年の感謝祭の翌日のフィラデルフィア州。
感謝祭の次の土曜日に行われる陸海軍のフットボールの試合に先立ち、
大勢の観光客や買い物客が街に殺到し、市民に混乱を招いた。
交通渋滞を引き起こし、万引きも多発するなど大変な1日になってしまう。
フィラデルフィアの警官は群衆をコントールして交通を制御するために
この日、休みを取ることができなかっただけでなく、
特別に長いシフトに調整しなければならなくなった。
それ故に、市内の警察官が感謝祭の翌日をブラックフライデーという言葉を使って
苦労を表現したのがブラックフライデーという言葉の始まりらしい。

今では日本を含め黒字になるからブラックフライデーと呼んでいるが
元々「警察官にとって(買い物客でごった返すため治安を守る)多忙な一日」
という由来で使われるようになったのは驚きだ。
一方、感謝祭翌日は多くの労働者が体調不良などと偽って欠勤するために
工場が計画通りに稼働できなくなる日としてブラックフライデーと呼んだという。
いずれも元はネガティブな意味が強かった。

これらのことから当初、ブラックフライデーにはネガティブな意味が強いと
小売店などはこの言葉に不快感を示して「ビッグフライデー」と呼びかけたが、
これは普及せず、その後の1981年にフィラデルフィアの地元新聞が
「小売業者が儲かり黒字になる日」という前向きな解釈を発表してからは
「ブラックフライデー」が良い意味で広く使われるようになった。

今ではどこもかしこもブラックフライデーの大セール中だ。
特にクリスマス、バレンタインデー、ハロウィンなど何の抵抗もなく
海外の文化を取り入れて自国独自の文化発展をさせる日本は
このブラックフライデーも数年前から各企業が積極的に取り入れている。
まぁ、11月は年末商戦を控えて売り上げが伸び悩むため、消費喚起を狙って
ブラックフライデーのセールが開催されるようになったともいえる。
2018年頃には「年末需要の先食いになるだけ」との意見もあったが、
2022年には「日本でも定着しつつある」と言われるようになった。

日本の場合、感謝祭に類似する祝日である勤労感謝の日にあわせて、
あるいは冬物ニーズが高まる二十四節気の一つ・小雪(11月21日頃)に
あわせて実施されることが多く、アメリカのブラックフライデーよりも
1週間程度早くに開催され、さらに1週間程度長く開催されている。

日本国内の歴史を紐解くと、2014年に玩具量販店の日本トイザらスが
ブラックフライデーのセールを開催したものが日本で最初とされている。
翌2015年には衣料品小売のGAPもブラックフライデーセールを開催した。
2016年3月には日本経済団体連合会と経済財政・再生相との会談で、
政府主導による個人消費喚起策としての「日本版ブラックフライデー」の
導入を提起したことで認知度は高まり、2016年11月には流通大手のイオンが開催。
身近なイオンのブラックフライデーセール開催がきっかけとなり
一気に日本でも根付き始めた。
さらに2017年には楽天市場、2019年にはアマゾンジャパンなどの
大手インターネット通販サイトもブラックフライデーを開催し
その知名度はさらに大きくなっていった。

多くの店舗が利益を押し上げ、ホリデーシーズンでうまく儲けるため
大幅なセールを行うことから以来、ブラックフライデーは
1年に1回の最大のショッピングイベントとなっている。
ちなみにアメリカでは多くの場合、小売業者は週末を通して販売を続け、
次の月曜日にサイバーマンデーのセールでセールを締めくくるのが通常だとか。
日本では今日29日がブラックフライデーだが、店によっては来週いっぱいまで
セールを続けたりしているので、さすがにサイバーマンデーは根付かないかね。

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